ガソリンスタンド店員の公道上での車を制止する行為は違法や否や!

【問い合わせ内容】
「、、、、われわれユーザーが給油を終わってGS敷地内から公道に出る際、GSマンが、親切にも(こちらが望んでいないにもかかわらず)通行中の車を時には、体を張って静止してくれるのですが、止められる方は、迷惑です。場合によっては、交通の安全の妨げになると思います。1商店の(適当な言葉が思いつかないので)営利サービスになぜ協力しなければいけないのか?いつも疑問に思っていました。警察も取締りをしているようには見えませんが、交通違反だと思います。いかがなものでしょううか?

【回答】
 上記の行為が違法で警察の取締りの対象になるかどうかについて、県警の「相談室」担当者および取締り係の担当官に尋ねました。

 結論は,「民間人がそういうこと(交通整理)をしてはいけないという法律はない。したがって警察は取り締まることができず、もちろん違法ではない。」

 道路上の交通を取り締まる法律は、「道路交通法」です。その目的は交通の安全と円滑を図ることです。上記の行為がいささかの交通の円滑を妨げる行為になっていると思われますが、この法律での取り扱いはどうなっているのか以下に説明します。
道路(「道路交通法」でいう道路は、「道路法」に規定された道路であり、一般交通の用に供する道、つまり公道)における車の制止行為は、道路交通法の第六条でいう、「交通整理」にあたります。道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図る行為です。警察官あるいは交通巡視員の「交通整理」行為は第六条で規定されています。しかし、ガソリンスタンド店員のような一般民間人の「交通整理」行為についての規定はありません。
 道路で民間人が交通整理をやってもよいのです。やっていけない行為「禁止行為」は、道路交通法第七十六条で規定されています。石川県では、これに加えて、「道路における禁止行為」を「石川県道路交通法施行細則」第十三条できめています。その内容は、最後に添付しています。  
 その中であえて、類似の行為としてあげるならば、道路交通法七十六条4項二に規定されている禁止行為「道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。」が該当するかも知れません。
 しかし、現在の警察の解釈は、安全を確保するための、民間人の交通整理行為であり、法に規定が無く、違法行為ではない、ということのようです。
 ただ、上記の行為は民間人が勝手にやっていることで全く法的な根拠のない「交通整理」行為であるため、その指示に従う義務は当然ながらありません。
 車の前で身体を張って制止されれば止まらざるをえません。度がすぎて腹がたつ場合は、「公道における貴殿の行為はいかなる法的根拠にもとずくものやいなや、公道における交通整理は道路交通法第六条により、警察官ならびに交通巡視員にのみ許された行為である(これはウソであるが、(^^;))」ということを問いただしましょう。
そして、
 公道における交通の妨害は、道路交通法七十六条4項二に規定されている禁止行為「道路において、、立ちどまっていること。」に相当すると驚かしましょう。
 すこしは、控えめになるのではないでしょうか?

道路交通法(昭和三十五年六月二十五日法律第百五号)
(国立国会図書館法令資料室のホームページよりhttp://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi)
(目的)
第一条  この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。
(警察官等の交通規制)
第六条  警察官又は第百十四条の四第一項に規定する交通巡視員(以下「警察官等」という。)は、手信号その他の信号(以下「手信号等」という。)により交通整理を行なうことができる。この場合において、警察官等は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため特に必要があると認めるときは、信号機の表示する信号にかかわらず、これと異なる意味を表示する手信号等をすることができる。
(禁止行為)
第七十六条  何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
 2  何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
 3  何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
 4   何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
 一  道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
 二  道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
 三  交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
 四  石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
 五  前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
 六  道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
 七  前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
   (罰則 第一項及び第二項については第百十八条第一項第六号、第百二十三条 第三項については第百十九条第一項第十二号の四、第百二十三条 第四項については第百二十条第一項第九号)

○石川県道路交通法施行細則
(石川県のホームページより,http://www.pref.ishikawa.jp/reiki/honbun/ai10109761.html)
(道路における禁止行為)
第十三条 法第七十六条第四項第七号の規定による道路における禁止行為は、次の各号に掲げるものとする。
一 交通のひんぱんな道路において、乗馬又は自転車の運転の練習をすること。
二 みだりに交通の妨害となるように道路に泥土、汚水、ごみ、くず、氷雪等をまき、又は捨てること。
三 交通のひんぱんな道路において、たき火をすること。
四 交通の妨害となるような方法でみだりに物件を道路に突き出すこと。
五 凍結するおそれのあるときに、みだりに道路に水をまくこと。
六 牛、馬、犬等の動物を道路に放し、又は交通の妨害となるような方法でつないでおくこと。
七 車両等の運転者の眼をげん惑するような光をみだりに道路に投射すること。
八 道路において、他の交通の妨害となるような方法又は危険な状態で車両等から身体又は物件を突き出すこと。
九 爆竹、かんしやく玉又はこれに類する著しい音若しくは閃光を発する物件をみだりに道路に投げ、又は捨てること。
十 他の交通を妨げるような方法でバスを待ち合せ、又は道路をふさぎ、若しくは歩行者が横隊で通行すること。
十一 販売、修理又は有料預りの対象となつている車両を道路におくこと。
十二 車両等に乗降するときに、他の交通に対する安全を確認しないで、乗降口のドアを開閉すること。
十三 煙が道路になびき、車両等の運転者の視界を著しく妨げることとなるような方法でたき火等をすること。

もどる