■辰巳ダム日誌
                          辰巳ダム日誌(2010年10-12月) 目次

◆2010.10.1(金) 辰巳ダム裁判第13回口頭弁論開催
◆2010.10.13(水) 土地価格の非公開についての異議申立ての取り下げをすることに
     ――辰巳ダム事業に関連して、石川県が買収した個人が特定できる土地価格を公開しないのは妥当か!――
◆2010.11.19-21 日本科学者会議による第18回総合学術研究集会(於宮城)において辰巳ダム計画の問題点を発表
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2010.11.26(金) 辰巳ダム裁判第14回口頭弁論開催
  マスコミへの配付資料あり


【辰巳ダム日誌】2010.10.1(金) 辰巳ダム裁判第13回口頭弁論開催
 辰巳ダム裁判第13回口頭弁論は、2010年10月1日(金)午前11時半から、金沢地方裁判所仮庁舎第1号法廷で開催された。原告13名、被告10名、傍聴者30名程度。
 原告から、第13準備書面(治水の認否)、第14準備書面(地すべり)、被告から、乙第197−200号証拠書類が提出された。原告が7月2日づけで提出した文書提出命令に関する意見書について、文書提出命令まではいかないで、保管や取扱いに条件をつけることで国側が対応できないか、調整がなされた。国側は、配慮してもらえるのであれば、任意提出できるかどうか検討したいと答えた。その結果、原告は保管の条件などを記載した文書を裁判所へ提出することになった。
被告第13準備書面(治水)についての原告の反論を11月1日までに提出する。原告の進行協議(勉強会)の記録は次回までに提出する。次回の口頭弁論は、11月26日午後2時〜仮庁舎で開催される予定である。
地すべりに関する進行協議(勉強会)の裁判所からの質問事項は、原告被告ともに11月に渡される予定である。この質問事項に関する説明は、1回目の被告説明は2011年1月28日午後2時〜4時の予定である。

【辰巳ダム日誌】 2010.10.13(水) 土地価格の非公開についての異議申立ての取り下げをすることに
     ――辰巳ダム事業に関連して、石川県が買収した個人が特定できる土地価格を公開しないのは妥当か!――
 辰巳ダム日誌2010.6.17(木)で 辰巳ダム建設事業の買収用地の「土地代金」非公開についての異議申し立てをしたことを記載した。これに対する一応の結論は以下のとおりである。
 辰巳ダム事業の用地及び補償費に関して、情報公開請求した「用地取得整理台帳」の被買収者の土地代金が非公開とされ、黒塗りとなっていた。これに対して、@県の支出情報であり、個人情報に当たらないのではないか、A国の考え方の変更があった(土地代金は公開すべき)ので、2019年6月17日に知事宛に一部非公開について異議の申し立てをすることにした。
石川県情報公開審査会から、9月22日付けで知事の理由説明書とこれに対する意見書の提出依頼の文書を受け取った。
理由説明書では、土地価格の公開について、公開すべしという国の考え方は限定的に取り扱うべきという指摘があった。土地価格の公開をするべきとした最高裁判決(平成17年7月15日判決名古屋土地開発公社の件、平成17年10月11日判決奈良県土地開発公社の件)の後、平成19年2月13日甲府地裁判決で土地価格は非公開情報であるとされた。甲府地裁の判断は、最高裁判決は「公有地の拡大の推進に関する法律」の適用を受ける土地開発公社に限定されたものであり、県の通常の公共用地の取得と違うものであるとしている。
土地開発公社の買収は、公示価格があって距離や利便性などの条件から土地価格を計算することができる、つまり、近隣の取引価格から類推でき、個人のプライバシーとしての要保護性が乏しいということのようであるが、甲府地裁の判決では、公共事業にかかわる土地買収はあくまでも個人の収入にかかわる個人情報であり、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがあるというものである。
甲府地裁の判決の中で、原告が「契約金額は、公的性質を帯びており、また、公金支出の適正さの監視・参加のために、個人情報としての側面より本件条例の目的を優先させるべき情報であるから、保護に値する個人の利害に関わる情報ではなく、、、、個人情報に当たらない。」と主張したが、あくまで「個人に関する情報」であるとした。
 情報公開に関する条例は、県民の知る権利を尊重しながら、公正な県政を推進するために県の保有する情報を公開するものであり、個人情報保護に関する条例は、県が保有する情報を公開することにより県政の適正な運営を図りながら、個人の権利利益を保護することを目的としている。県が保有する情報を公開することによって、個人の権利利益が害されないように、個人情報保護条例によって歯止めがかけられている。知る権利とのバランスをどこでとるかということであろう。
 甲府地裁の判決がいうように、土地価格はあくまでも、個人情報あるとすると、非公開ということになる。公金支出の適正さの監視のために、情報公開手続による手段が有効でないと言うことになる。ただ、個人が特定できないだけで、総計の金額は、地区別、地目別に公開されており、面積で除すると単価がわかり、この単価に土地の面積を乗ずれば、概算の土地価格が推定できる。つまり、実質的に土地価格が公開されていることになる。したがって、土地価格については不適正な金額で売買することはできないだろうと推測できる。
 以上のことを勘案して、特に意見はないという意見書を送ったが(依頼文書で意見がない場合でもその旨を書面で報告するようにとの記載があったので)、行政情報サービスセンター担当者の示唆により、取り下げをすることにした。
平成22年10月13 日
中 登史紀

【関連文書】
 公文書公開請求書 平成22年4月6日
 公文書一部公開決定通知書 平成22年4月20日
 異議申立書 平成22年6月17日
 審査会諮問通知書 平成22年7月30日
 異議申し立てに係る意見書の提出について(依頼) 平成22年9月22日
 理由説明書 平成22年9月22日

【関連情報】
 @ 甲府地方裁判所判決 平成19年02月13日〔行政文書不開示処分取消等請求事件/用地買収に関する文書〕
 http://houmu.h-chosonkai.gr.jp/hanrei/jirei153.htm

 A 最高裁(第二小法廷)平成17年07月15日判決〔情報公開−市土地開発公社保有土地の一覧表・買収価格等/名古屋市〕
 http://www.hiraoka.rose.ne.jp/C/050715S2b.htm

 B 情報公開審査会の答申概要(答申第21号) 用地取得整理台帳(津幡町)
 C 情報公開審査会の答申概要(答申第17号) 平成12年度における水淵町地内の物件移転補償契約関連文書

【条例】
 石川県情報公開条例 http://www.pref.ishikawa.jp/reiki/reiki_honbun/ai10100531.html
 石川県個人保護条例 http://www.pref.ishikawa.jp/reiki/reiki_honbun/ai10110251.html

【辰巳ダム日誌】 2010.11.26(金)午後2時〜2時半、 辰巳ダム裁判第14回口頭弁論開催
 辰巳ダム裁判第14回口頭弁論は、2010年11月26日(金)午後2から、金沢地方裁判所仮庁舎第1号法廷で開催された。民事部合議B係、裁判長は、中垣内健治(最初の裁判長は異動、二人目の裁判長)、裁判官は、南うらら(本件裁判の実質上のメインの人)、足立拓人、書記官は、西川純一。
原告、被告の出席者はほとんど変わらないが、傍聴者は20名程度と寂しい。裁判の法廷では準備書面を提出することで弁論したことになるので、法廷での主なやり取りは提出書面の確認とそれに対する反論の提出の期限の設定、専門事項に関する勉強会の予定の設定と関係する書面の取り扱いのやりとり、文書提出命令に関する内容の確認と提出に関する予定の設定など、事務的な手続きについてのやりとりが話されるのみで、傍聴者の立場に立てば、興味がわかず、関心が薄れていくばかりかもしれない。
 原告から、第16準備書面(治水)の提出(11月1日)、甲号証(35から38号まで)の提出がなされた。被告第14準備書面(治水、自然環境、利水、穴あきダム、代替案)に対する反論を2月15日までに提出する。被告の進行協議(治水勉強会)説明資料の認否に関して第17準備書面としてまとめたが、原告の主張の認否として採用することについて被告が同意するかどうか、その判断を次回までに持ち越すので、17準備書面は保留とする。
「文書提出命令の意見書」について、国から提出される文書の取り扱いをどう管理するのか、弁護人と原告と専門家だけが共有し、ホームページでは公開せず、訴訟の攻撃防御に使用するという制約とすることなどを、当事者間の合意だけでよいか、あるいは調書として残さなければいけないのか、ということを裁判長が国に問いかけたが、国は回答を保留した。
 (治水に関して)争いのない知見について裁判所でまとめ、次回までに示すことにする。
 地すべりに関する進行協議(勉強会)の裁判所からの質問事項は、被告に対して11月4日付けの文書が渡された。原告に対しては、被告の話を聞いてから渡される予定であったが、その準備に2ヶ月程度かかることになると、4月以降となり、大幅に遅れることになるので、裁判所から原告への質問事項については、概括的に年内に渡されることになった。この質問事項に関する原告説明は、2月予定の口頭弁論に引き続いて実施されることとなった。予定はつぎのとおりである。
次回の口頭弁論は、2011年2月28日(月)午後1時半〜2時、引き続き、進行協議(地すべり勉強会、原告説明)が午後2時〜4時まで仮庁舎大会議室で開催される予定である。

 【マスコミへの配付資料】
 配布リスト→pdfファイルワードファイル
 1.辰巳ダム裁判第14回口頭弁論開催資料→pdfファイルワードファイル
 2.辰巳ダム裁判の経過→pdfファイルワードファイル
 3.原告第16準備書面→pdfファイルワードファイル
 4.2010.3.26学習会資料 辰巳ダム裁判とは→pdfファイルワードファイル
 5.1周年集会資料 「辰巳ダムが出来ていたら、浅野川洪水を防げた!」ではなく、逆に「浅野川洪水は、辰巳ダムが引き起こした災害だ!」→pdfファイルワードファイル
 6.1周年集会資料 辰巳ダム裁判が一年経過して→pdfファイルワードファイル

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