上水道のページ ■辰巳ダム日誌
                          辰巳ダム日誌(2005年12月) 目次
◆2005.12.9 石川TVの取材(過大な石川県河川課の想定洪水量1750m3/秒3についてコメント)
◆2005.12.9 木村久吉先生(元金沢大学教授)の話を聞く会を開催、NPOセンターにて
◆2005.12.13 「公開質問状」を石川県知事、河川課長へ提出、玉井金沢大学教授、辻本名古屋大学教授へ送付
2005.12.13 前回11月29日の「公開質問状★手取川との比較★」の回答を受領
2005.12.27 辰巳ダムの根拠である想定洪水量についての「住民監査請求」を監査委員事務局へ提出


【辰巳ダム日誌】2005.12.9 石川TV取材
 石川TVの取材を受けた。辰巳ダム建設予定地、犀川大橋地点などを視察しながら、石川県河川課が想定した洪水量1750m3/秒3は有史以来発生したことの無いような洪水量であると説明した。過去100年間の最大規模の洪水は昭和8年の930m3/秒、戦後の洪水では昭和36年の第二室戸台風、平成10年の台風7号のときに最大規模の洪水が発生、800m3/秒前後である。手取川の水準に合わせても1200m3/秒程度。1750m3/秒は異常に過大。その原因は県の解析、100年確率の2日314mmの雨が降った場合のパターンを24通りあげている。基準の考え方でいけば、中位数の940m3/秒程度。最大の数値を取ったので1750m3/秒になった。この場合、24個のうちの一つを選んでいるのだから、単純に考えると1/2400。だから、異常に大きい数値となったもので、県の解析の誤り。県は専門家にも審議してもらい、妥当だと説明しているが、実は、専門家も委員会で「非常に説明力に乏しい、説明するのが難しい基本高水流量となっている」と述べている。つまり、専門家も疑問だと指摘している。

【辰巳ダム日誌】2005.12.9 木村久吉先生(元金沢大学教授)の話を聞く会を開催、「木村先生を囲んで、最近の辰巳ダム問題をめぐる意見交換会」
 日 時:12月9日(金) 午後6:00〜8:00
 場 所:NPOセンター「あいむ」会議室(旧県議会庁舎2階) 
 確か、84歳になられると思いますが、お元気でした。(^_^)
 内容はとりまとめ中。

【辰巳ダム日誌】
2005.12.13 「公開質問状」を河川課へ
 昭和53年から平成16年までの犀川の観測流量を解析して100年確率の洪水量を求めた。その結果は、930m3/秒。過去100年間の最大の出水である、昭和8年の洪水量に一致した。石川県河川課の想定洪水量1750m3/秒3は9000年確率に相当する。従来から、有史以来発生したことのない洪水であり、過大であるということを主張してきたが、裏付けられた。
 公開質問状を玉井金沢大学教授、辻本名古屋大学教授へ送付、石川県河川課へ提出。
 
 犀川の想定洪水量(基本高水ピーク流量)に関する公開質問状(河川課宛)
  犀川の想定洪水量(基本高水ピーク流量)に関する公開質問状(玉井、辻本先生宛)
  表1 犀川大橋基準点観測流量(ダム調節なし、放水量含まず)
  表2犀川大橋基準点観測流量(ダム調節なし、放水量含む)
  表3観測流量による犀川大橋基準点における確率年別流量の計算表(放水量含まず)
  表4観測流量による犀川大橋基準点における確率年別流量の計算表(放水量含む)
  図1観測流量による犀川大橋基準点の確率年別流量
  図2犀川大橋基準点の確率年別流量


 [河川課での話の内容]
 「27年間の観測流量記録による確率解析結果で検証すると、県の想定洪水量は過大ではないか?」

 当会:少なくとも、27年の記録であるから、30年確率くらいまでの想定洪水は、観測流量に近似するはずではないか?
 石川県:県の解析は1/100のところを狙っているもので、2〜30年のところは差異がでてもおかしくはない。27年のデータには大きいものが含まれていない。100年確率のところは、20〜30年の記録の延長線上では、最近の小さい雨の影響のため、差がでてくる。
 当会:平成10年の洪水は842m3/秒と大きいものである。
 石川県:しかし、雨は2日雨量で180mmと小さいものである。
 当会:台風による雨でほとんど1日で降ったものである。台風は移動するので24時間ほどしか降らない。48時間に換算すれば300mm以上で100年確率の雨に近い。
 石川県:48時間180mmで小さい雨である。
 当会:台風の場合、移動するので24時間ほどしか降らない。ピーク流量に影響するのは3-4時間のところである。平成10年の雨は大きな雨である。
 、、、、、、、のような議論があった。

 県の解析で想定洪水1750m3/秒に決めた根拠についてそもそもおかしいと、当会の主張を説明した。
  100年確率雨量2日314mm
  →100年におおむね一回発生
  →この雨が降った場合、24パターンの降雨の形
  →それぞれ100確率で500m3/秒から1750m3/秒
  →このうちの最大の1750m3/秒を選択
  →(降雨314mmと降雨の形は独立事象で)24のうちの一つを選べば1/100の1/24で1/2400になるのではないか
  →今回の解析では、県の想定洪水量は1/9000となった。
  →かってに降雨の形を決めるべきでない。自然現象でランダムであるから、統計手法で決めるべきである。
  →基準の考えの統計手法(カバー率50%)でいけば、1/100は940m3/秒程度である。

【辰巳ダム日誌】2005.12.13 同時に前回(11月29日)の公開質問「手取川流域と比較して犀川の想定洪水は過大ではないか」の回答受領。
 回答は以下のようなものである。

 平成17年12月12日
 犀川の河川整備を考える会
 代表 中 登史紀
 石川県土木部河川課長
 公開質問状「犀川の基本高水ピーク流量は手取川と比較して過大ではないか?」について(回答)
 「犀川水系河川整備基本方針」(平成16年7月30日策定)における犀川の基本高水ピーク流量については、平成9年改訂の「建設省河川砂防技術基準(案)」等に基づき、全国の二級水系の河川計画で用いられる一般的手法により、犀川水系の特性を考慮して算定したものであり、国の審査を経て同意されたものです。

 これに対して、
 当会:(回答の確認後)、技術的な点についての回答はないのか?
 石川県:文書による回答はしない。
 当会:何故か?
 石川県:答えないとは言っていない。技術的には口頭で説明、説明責任を果たす。今日は担当者が席をはずしている。
 当会:口頭では話の内容が消えてなくなる。技術的な議論についても文書で正確に表現し、県民全体に知らせる必要があるのではないか?
 (明確な回答なし)
 当会:手取川に比較して犀川は過大ではないか?
 石川県:水系別にそれぞれの検討があり、同じではない。
 当会:県は常日頃、ヨーロッパの洪水、東海豪雨、新潟/福井の豪雨について言及し、いつ、そのような洪水があるかわからないと言っている。地球の温暖化にまで言及していることからいうと、隣接流域のことは明確に説明するべきではないか?なぜ、文書で回答できないのか
 (明確な回答なし。)
 というようなやり取りがあり、堂々巡りになったので打ち切った。

【辰巳ダム日誌】
2005.12.27 辰巳ダムの根拠である想定洪水量についての「住民監査請求」を監査委員事務局へ提出
 辰巳ダムの根拠となる石川県想定洪水量についての解析が明らかに誤っていると判断できるにもかかわらず、内容を吟味せずに業務報告書を受け取り、委託費を全額支払ったのは、公金の不当な支出にあたると判断できるので、以下の書面と事実証明書を添付して、提出した。

 石川県知事に関する措置請求の要旨
 事実証明書の内容の説明
 表1 20世紀の100年間に発生した、犀川の主要な洪水流量
 
図1 犀川--過去の洪水と河川整備水準(想定洪水)の比較
 
表1-1 犀川大橋基準点流量(ダム調節無し、放水量含まず)
 表1-2 犀川大橋基準点流量(ダム調節無し、放水量含まず)、毎年のピーク流量
 表1-3 犀川大橋基準点流量(ダム調節無し、放水量含まず)、降順に並べ替え
 表1-4 観測流量による犀川大橋基準点における確率年別流量の計算表
 図1-1 犀川大橋基準点−確率年と確率年別流量の関係
 図1-2 犀川大橋基準点−確率年と確率年別流量の関係(石川県想定洪水量比較)
 表2-1 犀川大橋基準点の毎年のピーク流量
 表2-2 犀川大橋基準点の毎年のピーク流量、降順に並べ替え
 表2-3 毎年のピーク流量による犀川大橋基準点における確率年別流量の計算表
 図2-1 犀川大橋基準点−確率年と確率年別流量の関係
 図2-2 犀川大橋基準点−確率年と確率年別流量の関係
 表3-1 天神橋基準点−確率年と確率年別流量の関係
 表3-2 天神橋基準点の毎年のピーク流量、降順に並べ替え
 表3-3 毎年のピーク流量による天神橋基準点における確率年別流量の計算表
 図3-1 天神橋基準点の毎年のピーク流量
 図3-2 天神橋基準点−確率年と確率年別流量の関係

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