アメリカシロヒトリの駆除について考える
−都市の居住環境の快適性(緑化)と安全性(化学物質)は両立するか−

平成11年7月
   

はじめに(空から農薬が降ってくる!)
1.アメリカシロヒトリの駆除とは
2.実際に行われているアメリカシロヒトリの駆除とは
3.アメリカシロヒトリの駆除は失敗だった?
4.アメリカシロヒトリの駆除は簡単!
5.アメリカシロヒトリの駆除を理由に駆除している毒蛾の対策は!
6.都市の居住環境の快適性(緑化)について考える
7.都市の居住環境の安全性(化学物質汚染)について考える
8.結論(都市の居住環境の快適性と安全性は行政任せでは解決できない。
      住民の関与に比例する!)
添付資料
1.アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)
2.IPCS(International Programme on Chemical Safety,国際化学物質安全性計画)
  によるトリクロルホンの「環境保健クライテリア」
3.長野市アメリカシロヒトリ防除実施要綱
4.総合防除という考え方
5.電撃殺虫器のカタログ例
6.PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等および管理の改善の促進に
  関する法律:略称「化学物質排出管理促進法」)とは
参考文献

            
はじめに(空から農薬が降ってくる!)

6月中旬のある日、自宅で新聞や雑誌に目を通しながら、くつろいでいると拡声器がさかんに叫んでいる。「アメリカシロヒトリの駆除のため薬剤散布を行います。洗濯物を入れて、窓を閉めてください。……」。気にもとめないでいた。古い家だから、シロアリ(アメリカシロヒトリがシロアリのことだと誤解していた。)などいないと!。突然、拙宅の小さな庭にバシャバシャという音ともに薬剤が降り注いできた。何事かと飛び上がり、急いでガラス戸を閉めた。危うく、薬剤を頭からかぶるところであった。

薬剤を散布している作業者に事情を尋ねると、アメリカシロヒトリ駆除のために農薬を散布しているという。この時期には、金沢市内一斉に薬剤を散布しているという。まさか、町の中で農地と同じように農薬を大量に散布しているとは思いもよらなかった。散布業者とともに町内会の代表が立ち会っていた。ちょっと疑いをはさむと口論になってしまった。話を聞いてみると、管理していない樹木に毛虫がたかり、葉がむしばまれるばかりか、大量の毛虫が地面を這っていたこともあって、町内会全体で駆除を実施しているとのことであった。散布業者にアメリカシロヒトリが繁殖している柿の木の状況などを説明してもらった。散布している農薬は安全で問題ないということ、詳しくは市役所の「緑と花の課」へ行けばわかるということであった。安全だからといっても農薬に違いないのであり、安全であるという疑問を拭い去ることができなかったので、少し調べてみることにした。

インターネットで若干の情報を収集して予備知識を入れた後で、早速、つぎの日に金沢市役所「緑と花の課」を訪ねた。アメリカシロヒトリ駆除は町内会の事業で町内会が業者に委託して行っており、町内会に対して市が費用の3/4を助成している。昭和47年ころから継続しているという。薬剤の安全性については、低毒性で国の基準にも適合しており、問題ないと言うことであった。安全性についてそれ以上詳しくはわからないとのことであった。質のことの他、量の問題もあるので、金沢市全体での薬剤散布量を把握するため、情報公開請求した。6日後の6月22日、行政情報公開決定通知書を受領し、資料のコピーを受けとる。アメリカシロヒトリ駆除は県でも実施しているので、県の公園緑地課でも安全性に関して尋ねたが、市で受けた説明以上のことはわからなかった。石川県農業総合研究センター病害虫防除室の笠島氏によると、適正な使い方をしたうえで、安全が担保されるとのことであった。しかし、個人差の大きい化学物資過敏症の問題や複合毒性、環境ホルモンとしての働きなどについてはわからないとのことであった。

 安全性を考慮しての対応というわけではないようであるが、金沢市は薬剤散布に頼るばかりではなく、いろいろな試みを始めていることもわかった。額新町では、数十年にわたり害虫駆除のことに携わってこられた石崎久次氏の提案と指導で新しい取り組みがなされていた。以前、石川県農業総合研究センターに在籍され、現在は社団法人石川県植物防疫協会試験室県試験員をされているという。アメリカシロヒトリの生態、実際の駆除方法、チャドクガなどの害虫駆除について現場で懇切な説明をうかがった。また、実際の駆除の状況を知るため、市内各地で行われている駆除の現場を数カ所で立ち会った。さらに、他の自治体の対応、使用されている駆除のための機器などの情報などを取り寄せて検討した。

安全性については、結局、上級官庁任せ、で誰もよくわからない。上級官庁の担当者もよくわからないのではないかと危惧した。折しも、様々な化学物質の汚染によるリスクを社会全体で低減させるための試み、PRTR法が話題となっており、ちょうど、NHKのテレビ放送で放映された。そこでPRTR法に関する情報をインターネットで検索した結果、今年の3月に閣議決定されて、まもなく、国会に諮り、法律としてスタートするということがわかった。そして、1999年7月7日、参議院本会議で賛成多数で可決、成立した。簡単な説明によると、数万とある化学物質を一つ一つ、規制することによって社会的な安全度を高めようと言うのは無理だから、まとめて規制しよう、その規制の仕方も、一つ、一つ、排出濃度を規制するのではなく、単に化学物質を使用し排出する事業者等に、使用・排出量の記録を作らせて報告させる、これを国でまとめて、要求に応じて情報開示するというしくみである。どれだけ排出したから、罰っするというものでもない。

市民も情報を共有化することにより、排出者は市民の監視のもとにおかれる。排出者がその排出を必要最小限にしようというインセンティブに期待するものであるという。このような拘束力もない規制で化学物質の排出量が減って社会的なリスクが軽減されるか不思議な気もする。ところが、実際に実施を始めた米国などでは、排出が激減するケースもでているという。

 農薬の使用にあてはめてみる。農薬の使用量を公開する。このことによって、住民がその化学物質の使用量に関心ができる。他市町村との比較もできる。あそこでは、こんな少ないのにどうして金沢ではこんなに多いのか、少なくできないのか、議論がおこり、同じ効果をもたらすために化学物質の使用をいかに少なくするかという知恵が生まれる。そして、被害が軽減しつつ、農薬使用量も軽減することになる(のであろうか……?)。

 筆者の簡単な調査の結果、実は主としてアメリカシロヒトリの駆除をしているのではないとこと、アメリカシロヒトリの駆除に限れば簡単であることがわかった。アメリカシロヒトリの駆除は素人でもちょっとした説明で簡単にわかり、駆除ができる。筆者がアメリカシロヒトリをシロアリと誤解して、シロアリがいないのにどうして拙宅の庭に農薬をまくのかと憤慨したのは、3週間前のことであるにもかかわらず、わずかな学習で駆除に関して大半のことが理解できた。

筆者の考えでは、アメリカシロヒトリ駆除のための薬剤散布量は1桁小さくできるとみる。百歩譲って、実務上、これだけの削減は無理という意見を受け入れたとしても半減は簡単であろう。そして、この検討を通じて問題が2つあることがわかった。
 一つは、快適性を増すための「緑化」ということの意義についてである。市の「緑の基本計画」の精神に欠陥(動植物との共生という観念が抜けている!)があるのではないか。
 一つは、居住空間の安全性を担保することについてである。必ずしも明確でない、化学物質の多用について社会全体のリスクをどう考えるかである。

アメリカシロヒトリ駆除のことを取り上げ、小冊子を作成した。短期間の検討にもとづいており、誤解や間違いも多々あると思われるが、快適で安全な街づくりのための議論のたたき台になればと思う。

よかれと思って実施した行政側の対応も、しくみがスタートして動き出すと、改善点が多くあってもなかなかハンドルを切ることが難しくなるのが、行政のしくみの欠点でもある。過去のいきさつや利害にとらわれないで考えることができるのが、一住民の利点である。この問題提起がきっかけとなり、方向転換のスピードが加速されるように希望するものである。

最後に、金沢市「緑と花の課」アメリカシロヒトリ駆除担当の永森氏、情報公開コーナーの川原氏には情報公開請求に対する誠意ある対応をしていただき、ここに謝意を表します。また、資料収集、作表、イラスト作成、現場テストなどで協力してもらった菊本舞、三宅俊之さんにも感謝します。


平成11年7月31日
金沢市小立野在住
中 登史紀
                                 イラスト:三宅俊之

1.アメリカシロヒトリの駆除とは

(アメリカシロヒトリとは)
 アメリカシロヒトリとは、プラタナスなどの落葉広葉樹の葉を暴食して丸坊主にしてしまう樹木の害虫である。戦後、アメリカから日本に入ってきた新顔の昆虫である。成虫も毛虫も人間には無害である。樹木の葉を食い尽くすだけで樹木が枯れることはない。白い毛で覆われた、小さい毛虫(体長20mm以下)でよく観察しないと気がつきにくい(写真1)。住民の嫌悪感を抱かせることはあまり無いように思われる。(巻末の添付資料1.参照)
                                                   
                       写真1 アメリカシロヒトリの幼虫

(なぜアメリカシロヒトリをなぜ駆除しなければいけないのか)
100種類以上の樹木の葉を食い荒らす。街の中で見られる被害樹木はプラタナス、アメリカ楓、ヤナギなどの街路樹、サクラ、ウメ、ハナミズキなどの公園樹、カキ、アンズなどの果樹などが代表的なものである。放置すると、大発生し、樹木を丸坊主にするので、景観が台無しになる。全国的に街路樹の被害が大きい。緑の大敵として、全国的に駆除が行われている。一時、国の補助事業として1/2の補助金のしくみがあったが手に負えなくなって地方に任されたという経緯があるとのことである(石崎さんの話)。

(アメリカシロヒトリ駆除の方法は)
 アメリカシロヒトリを駆除する方法は、
@幼虫(毛虫)のついた枝葉を除去して駆除する。
A幼虫(毛虫)を薬剤散布で駆除する。
B成虫を捕殺する。
 などがある。いずれの方法も実施されているが、金沢市ではAの薬剤散布が普及している。

(アメリカシロヒトリを完全に駆除できるのか)
前述の3つの方法を比較して簡単な分析をすると
@ の方法は、手間ヒマがかかる。
A の方法は、機械力で一気に駆除できる。
B の方法は、確実性が少ない。
である。Aの薬剤散布が有力である。実際、金沢市では、昭和47-48年ころから、約30年近く、薬剤散布による一斉駆除が実施されている。ところが、一向に発生が減った様子はない。

農作物の場合と比較してみよう。農作物の場合、ほぼ完璧に近い状態まで駆除しなければ、商品として売れず、農業がなりたたないということは理解できる。薬剤を十分に使用して、ほぼ完璧な害虫の駆除を行わざるを得ない。対象となる農作物をある限られ管理された場所で農薬による徹底した駆除が行われる。

これに対して、街路樹等は居住環境の中に点在し、対象物も大小さまざまである。これを農作物のごとく、安全性を確保しながら、薬剤散布でほぼ完璧に害虫駆除することは非現実的である。つまり、街路樹の薬剤散布はやむ得ない対処療法であり、根本的な駆除方法ではないことである。

 この分析は専門家の話によっても裏付けられる。薬剤散布が駆除のための有効な手段の一つであるが、この方法によって完全な駆除ができるのかについて、専門家に尋ねた。石川県農業総合研究センター病害虫防除室の笠島氏によると、
「薬剤を散布すると、薬剤が付着した葉や枝に毛虫が触れても食べても死ぬ。残効が2,3日ある。撒きむらがあることや、薬剤を散布した後にまた、産卵すれば、また、発生する。ゼロにするのは無理だろう。」
という話であった。つまり、1本の樹木でさえ、ゼロにすることは無理なのである。30年近く撒き続けても一向に減らないことが納得できる。

2.実際に行われているアメリカシロヒトリの駆除と

(駆除費用)
実際にどのようにアメリカシロヒトリの駆除が行われているのであろうか。
金沢市では昭和47-48年ころから、都市樹木の害虫として駆除を始めた。また、3年前からは薬剤散布によらない方法(誘引捕獲器による方法、捕殺防除など)を一部の区域で採用し始めてはいるが、薬剤散布による一斉駆除が主たるものである。金沢で使用されている薬剤は主として一般名トリクロルホン(Trichlorfon)(その他の名称では、DEP、dipterexなど、商品名では、ディプテレックスなど多くの名称がある。)。一部、トリクロルホンとBT剤の混用をはじめたが市有の施設だけである。薬剤散布にかかる年間費用は、金沢市全体で1億3千万円(平成10年度)にものぼる。金沢市の世帯数は17万3千世帯であり、1世帯当たり年間730円の費用をかけている。筆者の町内会費は毎月500円である。

(筆者の住む町内会では)
アメリカシロヒトリ駆除の回覧があり、町内一斉の薬剤散布が行われる。薬剤散布業者と町内会の代表が立ち会う。業者はアメリカシロヒトリがどこに産卵し、繁殖しているか理解しているが、町内会の代表は駆除についての理解は少ないようである。誤解を恐れずにいえば素人である。例えば、去年、この樹木から大量の毛虫が発生したという理由で散布すると主張していた。(筆者注:散布した薬剤の効力は2,3日であり、その時点で毛虫が発生していなければ有効ではない。)。また、巣網のあるカキの木に散布していたが、散布の必要はなく、高枝バサミで切り取って踏みつぶせばよく、この方が確実な方法である。案の定、散布後の観察では1週間くらいで、再び毛虫が活動を始めていた。他の木に移ると困るということで、関係のない樹木の散布もされていた(例えば、筆者の庭のキンモクセイなど。)。概して、住民の受け止め方は、市が一斉駆除、薬剤散布をするので、アメリカシロヒトリは恐ろしい害虫で、とにかく、徹底的に消毒しないといけないという認識が見受けられる。苦情を述べると「町内会の方針に反対するのか」とかなりの反発がある。

(筆者の事務所の近くにある体育館の事例)
 体育館の周囲には、タブ、ヤマモモ、シラカシ、ヤブツバキ、ヒサカキ、ハマヒサカキ、ウメ、ハナミズキ、サツキ、アベマリア、カンツバキなど数百本の樹木があるが、小生の観察によると、小木のハナミズキ2本だけが、アメリカシロヒトリの巣網があった。高枝バサミで葉を落としてつぶせばそれですむ。仮に薬剤散布をするとしても10gもいらない。しかし、実際には数百gの薬剤散布が行われた。体育館の立会人から、いく本かの木を指し示してよく虫がたかる木だから散布して欲しいと注文がついて散布し(筆者注:実際にたかっていなければ無駄になる)、また、散布業者の判断で、葉が枯れているツバキにはチャドクガがついているから散布しないといけない、近づいただけでも毒で腫れるなどという理由で散布していた。この体育館沿いの街路樹はアメリカ楓で、アメリカシロヒトリが好んで産卵する。軒並み、巣網があり、巣網を飛び出した毛虫が至る所で葉を食っている様子が見えた。街路樹は管理者の市が早朝に薬剤散布をする(散布直後は、薬剤がしたたり落ちるため)。

(兼六園のアメリカシロヒトリ駆除)
 兼六園のアメリカシロヒトリ駆除に立ち会った。6月28日6時、閉園後に行われた。街路に面している外回りは、明朝5時から行うという。
対象樹種、散布量、薬剤は、
サクラ 3,500g(スミチオン1000倍液+モレスタン2000倍液(ハダニ
         を殺す殺菌剤とのこと))
 ウメ 500g(スミチオン1000倍液)
 クルミ、ヤナギ、キリ125g(スミチオン1000倍液)
 合計の散布量は4,125gである。アメリカシロヒトリ駆除のために、年間、2−3回、約1万g/年の薬剤が散布されているという。
 
 機材は小型トラック2台(500gタンク+高圧動力噴霧器)、中型トラック2台(500gタンク×2+高圧動力噴霧器)である。1本500ml入り容器を500gタンクに入れて希釈すると1000倍液になる。500gタンクを積んだ小型トラックによる薬剤散布の様子を写真2に示す。20-30本のサクラに対して500g、約30分くらいの作業時間である。散布したサクラの樹木が高いと圧力も要し、噴霧量も大きくなる。1本当たり、約20gの噴霧量である。樹高が低いと10g前後ですむらしい。アメリカシロヒトリの巣網は比較的少なく、10本くらい見て、確認できたのでは、1本のサクラで数個所の巣網が見られただけである。公園木は見栄えにも十分な配慮が必要だから、一般の樹木のように毛虫がついているからといって枝を切り落としたり、駆除がしにくいから樹木が高くならないように幹を切り落とすというような荒療治がしにくい。薬剤散布に頼らざるを得ない面があろう。また、管理事務所は緑の保全を維持する部署であり、周辺の居住環境の安全性(現在の安全性ではなく、明文化されていない、よくわからない将来の安全性)を配慮できる組織ではない。しかし、緑の保全と将来の環境の安全をどう調和させるべきかを、外部の人も入れて、議論し、改善できるようなしくみが必要ではないかということが気になった。
                
                  写真2 兼六園のアメリカシロヒトリ駆除作業の様子

近隣の都市についても電話による聞き取り調査をした。
(富山市では)
富山市の状況を公園緑地課に尋ねた。(公園緑地課の電話076-431-6111)
「市道に約8000本の街路樹があり、その約半分の4000本がアメリカシロヒトリ駆除の対象樹種である。プラタナス、ヤナギ、アメリカ楓などである。公園緑地課では、街路樹の被害防除のために薬剤の散布を行っており、年間1千万円ほどの費用をかけている。雨やかけ損じなどもあるので、年間2−3回、業者に委託して行っている。街路樹への薬剤散布は早朝に行うようにつとめているが、昼間にもやらざるを得ない場合もあり、ときどき、苦情がある。今年5月から、フェロモントラップ(誘引捕獲器)を設置して成虫の捕獲をする試みを始めた。
 アメリカシロヒトリ駆除のために住民への助成などのことはやっていない。草花の病害虫駆除の方法などについて市民相談の窓口(花とみどり相談)があり、市農業センター職員が相談に応じている。各地区センター単位で業者に駆除を依頼しているケースがある。アメリカシロヒトリに関して、市への苦情は数日に1回くらいである。」

(福井市では)
福井市についても公園緑地課へ尋ねた。(福井市の電話0776-20-5111)
「街路樹等、防除対象の樹木が4,600本ほどあり、年3回、業者に委託して薬剤散布をしている。おおよそであるが、年間1千万円ほどの防除費用をかけている。福井市では、アメリカシロヒトリ防除のために住民へ補助金を助成するしくみはない。住民からの苦情は、シーズンになると30件ほどにもなり、困っている。住民からの苦情に対する対処は、金沢市のようなしくみがないので、やむえず、いろいろな名目で業者に頼んでやらせざるを得なくなっている。数字にあらわれないが、防除費用として計上している金額(おおよそ1千万円)の3倍ほどもかかっているのではないだろうか。」と少し言いにくいことを聞いてしまいました。

(薬剤散布量の試算)
これらの情報をもとに試算をしてみた。
 富山市では、約4000本の対象樹木がある。1本あたりの散布量を10−20gとし、薬剤費を49円/g、年間の散布回数を平均2.5回(2-3回/年)とすると
 4000本×(10−20g/本)×49円/g×平均2.5回(2-3回/年)=4,900−9,800千円となり、ほぼ1000万円と符合する。
 薬剤散布総量は、 10,000,000円/49円/g=200,000g
 となる。金沢市では、10倍強の2,500,000g(兼六園の散布量の250倍!)、1億3千万円の費用をかけている。

 金沢市内の対象樹木を仮に1万本(街路樹、公園樹、個人の庭の樹木を入れる。兼六園や金沢城址など県が管理するものは含まない。)とすると
 1万本×20g×2.5回/年=500,000g
 となる。つまり、現在の薬剤散布量の1/5量である。ざっとした目分量でも現在の使用量が異常に大きいことが把握できる。後から記述するように、個人の庭の樹木は、簡単に駆除できるので、個人で、薬剤を使用しない方法でほとんど駆除できると考えられるので、この推定使用量500,000gでも多すぎるであろう。

 金沢市も3年前から、講習会などを実施して、簡単な方法を薦め始めたことは評価できる。
(額新町町会での取り組み)
 額新町は緑が豊かで森の都の住宅地にふさわしい景観を持っている。薄い緑色の多くの葉を持つアメリカ楓の街路樹が潤いを与えてくれる。ところが、住民と同じようにアメリカシロヒトリの成虫もこの樹木がお好みで、葉に産卵する。
ここでは、アメリカシロヒトリ防除のために、3年前から成虫捕獲のためのフェロモントラップ設置(写真3)、去年からは産卵した枝葉の切り取り捕殺防除(写真4)を始めた。フェロモントラップ(誘引剤による雄のアメリカシロヒトリ成虫捕獲器)は、アメリカ楓の並木の一本置きに設置している。7割くらい捕獲できているのではないかというお話であった。また、今年の捕殺防除は6月13日に実施された。6月26日に石崎さんとともに観察したときには、街路樹のアメリカ楓にかなりの数の巣網が見られた(街路樹の駆除は町内会の担当ではなく、市の道路維持係の担当。)。タカバサミで届かないところも多く、薬剤散布もやむ得ないかなというようなところをいわれていた。
 ちなみに、額新町は740世帯あり、薬剤散布の費用が年間80万円ほど、町内会で20万円を負担していた。年間約16千gの薬剤散布が行われていた。
                               
                  
                写真3 街路樹に取り付けられたフェロモントラップ 

                    
                   写真4 被害枝葉の切り取り作業の様子

3.アメリカシロヒトリ駆除は失敗だった?

(金沢市の駆除薬剤量と駆除費の推移)
 金沢市のアメリカシロヒトリ防除事業は、市有施設事業と町内会事業の2本立てになっている。市有施設事業とは、市が管理する街路や公園の樹木を対象とした防除であり、市が散布業者に委託して実施される。また、町内会事業とは、各町内会が散布業者に委託して実施した防除費用に対して助成(平成10年度は3/4を助成)するものである。

 情報公開請求により、アメリカシロヒトリの防除の薬剤(DEP)散布量(年間)に関する文章(支出負担行為伺)平成3年度〜平成10年度の8年間分のデータを入手した。このデータを図表に整理したものが以下である。表1および図1は金沢市のアメリカシロヒトリ防除薬剤使用量の推移を示す。また、表2および図2は金沢市のアメリカシロヒトリ防除費用の推移を示す。

表1  金沢市のアメリカシロヒトリ防除薬剤使用量の推移単位:キロリットル

平成3年 平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年
(町内会事業)
1化期 852 974 1,112 1,213 1,176 1,366 1,474 1,259
2化期 526 602 607 628 825 823 832 805
1,378 1,576 1,719 1,841 2,001 2,189 2,306 2,064
(市有施設事業)
1化期 105 169 172 157 159 227 186 162
2化期 180 190 180 171 249 209 236 238
285 359 352 328 408 436 422 400
合計 1,663 1,935 2,071 2,169 2,409 2,625 2,728 2,464


        

表2  金沢市のアメリカシロヒトリ防除費の推移  単位:千円

平成3年 平成4年 平成5年 平成6年 平成7年 平成8年 平成9年 平成10年
(町内会事業)
1化期 補助金 25,895 30,390 38,240 43,678 44,226 51,357 53,063 46,282
町会負担 6,474 7,598 9,563 10,920 11,057 12,839 17,688 15,431
32,369 37,988 47,803 54,598 55,283 64,196 70,751 61,713
2化期 補助金 16,005 18,788 20,893 22,613 31,028 30,930 29,940 29,582
町会負担 4,001 4,697 5,223 5,653 7,757 7,733 9,980 9,863
20,006 23,485 26,116 28,266 38,785 38,663 39,920 39,445
52,375 61,473 73,919 82,864 94,068 102,859 110,671 101,158
(市有施設事業)
1化期 委託料 4,009 6,598 7,399 7,047 7,462 10,697 8,918 9,891
2化期 委託料 6,823 7,412 7,769 7,678 11,688 9,845 11,320 14,561
10,832 14,010 15,168 14,725 19,150 20,542 20,238 24,452
合計 63,207 75,483 89,087 97,589 113,218 123,401 130,909 125,610
備考 1g当たり単価 38 39 43 45 47 47 48 49,61
助成割合 4/5 4/5 4/5 4/5 4/5 4/5 3/4 3/4


 
 防除薬剤使用量、防除費用ともに年々、増大していることがわかる。全体の防除薬剤使用量については、平成9年のピーク2,728キロリットルで平成3年の数値1,663キロリットルの1.64倍である。全体の防除費用については、平成9年のピーク130,909千円で平成3年の金額63,207千円の2.07倍にも達している。

 平成10年度に、使用量、費用ともに減少しているのは、助成割合の削減(4/5から3/4に削減)、捕殺防除など薬剤使用量を低減させるための対策の実行などの効果のようである。

(金沢市の駆除対策は失敗!)
 金沢市のアメリカシロヒトリ駆除対策は一言で言えば、失敗だったということであろう。その理由は、
 @約30年も実行しているが、アメリカシロヒトリの繁殖が収束する気配がないこと
 A市長決裁で処理していること(助成するための根拠となる条例がなく、法的が根拠がない。ということは最も有効で安全な方法は何か、衆知を集めて議会で議論する過程を踏んでいない。適当な判断でやっているとも受け止められかねない。1億を超える費用を議決を経ないで処理して良いのか疑問である。)
 B年間に1億円強の費用は大きすぎる。費用対効果はどうなのか、効果の判定をしていないことは問題である。

(松くい虫の駆除に似ている)
 アメリカシロヒトリの駆除は、松食い虫の駆除に似ている。河野修一郎は、『日本農薬事情』でつぎのように述べている。
「ここでなぜ「松くい虫」の「特別防除」(松くい虫を駆除し、またはその蔓延を防止するため航空機を利用して行う薬剤による防除)について総括する必要があるのか。」
「この森林害虫が現代における人間と自然の関係を象徴していると同時に、これからの森林保護を考えるうえできわめて大きな示唆に富む失敗事例だったからである。」
「誘引剤の利用を含めた総合的防除の検討や、抵抗性樹種の普及といったことはまだるっこい。手っ取り早くヘリコプターで薬剤散布を実施しろということで突っ走り、五年経ち十年経ちして、にっちもさっちもいかぬところまで来て、防除方法の再検討を始めた。」

 アメリカシロヒトリは、松くい虫と異なり、森林害虫ではなく、都市樹木の害虫である。空中散布することはないが、駆除のために薬剤散布が行われていることに変わりはない。「森林」を「都市あるいは都市環境」という言葉に置き換えると
「この都市害虫が現代における人間と自然の関係を象徴していると同時に、これからの都市環境保護を考えるうえできわめて大きな示唆に富む失敗事例だったからである。」
となる。そして、薬剤散布では駆除できず、費用もかさみ、にっちもさっちもいかなくなって、誘引剤の利用を含めた総合防除を始めた事情は全く同じである。(「総合防除」について、巻末の参考資料4.総合防除を参照)

(なぜ1億円を超える大きな駆除費用が必要となるのか)
 薬剤散布をしても駆除できるわけではなく、駆除しないからといって、緑が丸坊主になるだけで、人間に特別、被害があるわけではない。樹木も枯れるわけではない。丸坊主になって食べるものがなくなると毛虫がいなくなるだけのことである。(ただし、近くに樹木があるとそこへ毛虫が大量に移動することがある。)

 なぜ1億円を超える大きな駆除費用が必要となるのか、誤解を恐れずに言えば、アメリカシロヒトリの駆除をしているのではなく、気持ちが悪いからと言う理由で毛虫の駆除をしているからである。金沢市の助成のしくみは、町内会の事業に助成しているという建前である。有効な駆除知識の乏しい素人(そうでない場合もあるが、いくつか立ち会ったがほとんど何も知らない。町内会の代表が立会人である。)と駆除業者(知識があり、市から必要以上の駆除はしないように指導されていると言うが、散布量に比例して委託金額が決まるので散布量は多くなりがちである。また、毛虫のきらいな住民が多く、あそこもここもといわれれば過剰な散布になるのは簡単に想像できる!)が薬剤散布を行う。金沢市のしくみでは、必要以上に散布量が多くなることを止められない。また、駆除時期が梅雨時期であるうえに金沢は雨が多いので薬剤散布をしても、その後で雨が降ると薬剤が流されてします。無駄に流される薬剤量はかなりにのぼるだろう。その点でも薬剤散布の有効性に疑問符がつく。

 毛虫がきらいというような感情的な問題は個人の問題で、自分の庭を自分の判断と負担で毛虫の駆除をすればよい。そうではなくて、個人の庭の毛虫の掃討作戦に市の補助金助成をする理由はない。そのような補助金をだすのであれば、ゴキブリホイホイも市で調達して、各個人に配布しなければならなくなる。いくら、お金があっても足りない!

また、薬剤散布には、専門家の立ち会いが必要である。現在,のやり方(業者と町内会の立会い)では、環境への配慮を的確に判断できず、不安な住民の答えもできない、毛虫を一掃しろみたいな結論になりがちであり、町内会で決めたものを反対するのはけしからんというトラブルなどが起きる。

(他の自治体のとりくみは)
アメリカシロヒトリの駆除に関してインターネットで検索した結果、多くの自治体でさまざまな取り組みがなされていることがわかった。
 噴霧器の貸し出し(市川市)
アメシロ防除機の無料貸し出しと薬剤費の半額助成(米沢市)
噴霧器の無料貸し出し(大宮市)
焼殺器を一器1,600円で斡旋(長野市)
アメリカシロヒトリ一斉防除デー(6/13、6/20)(長野市)
一斉点検(6/7、8/2、8/9)(飯田市)
動力噴霧機の貸し出しと薬剤の無料提供、アメシロ防駆除対策室(秋田市)
などである。

(金沢市の助成のしくみ)
 他の自治体と比較して、金沢市の対応の特徴は、助成費の大きさ、指定業者による散布などである。金沢市の助成のしくみは、町内会の事業とし、防除経費の3/4を助成する。市の指定業者制で、町内会はこの業者に委託する。業者と町内会の代表の立ち会いのもとに、町会単位の一斉薬剤防除の実施する。
 3週間程度の調査、検討であるが、金沢市の駆除助成のしくみには、かなり問題点があるように思われる。アメリカシロヒトリの駆除は、もともと国の事業であったという(石崎さんの話)。国で手に負えなくなって匙を投げた事業を町内会の事業とし、地方自治体が助成するというのは、もともと無理なのでは無かろうか。営利を目的とする散布業者と素人の立ち会いである(例外的に額新町のように専門家が立ち会う場合もあるが!)。知識の啓蒙が必要であり、住民参加が必要である。住民の中にはアメリカシロヒトリが大変な害虫で薬剤散布をしないといけないと単純に信じているものもいる。

(金沢市の助成システムの修正点は)
その1 専門家の立ち会い
必要以上に撒くことの意味を正確に、効果とリスクを住民に正しく伝える専門家を配置する。そして、業者と町内会の代表に加え、専門家の立ち会いをするしくみを創設する。専門家といっても環境問題に興味がある者であれば短期間の研修によって養成できる。ボランティアである専門家を活用することも有効な方法と考える。

その2 適切な駆除対策に応じた委託費
現在の委託費は薬剤散布量に応じて決めている。過剰散布の誘因となるので、これを改め、薬剤散布量だけでなく、一回の出動の費用を支払うこと、薬剤を全く散布しなくても、出動費用を賄える費用を払うこととする。薬剤散布が目的ではなく、アメリカシロヒトリを駆除することが目的であり、その適切なノウハウを持つ業者が得になるようなしくみに変える。

 その3 助成割合の削減
 助成割合が大きいと公的なところに依存する傾向が高まる。各個人の管理するべき樹木は、各個人が責任を持つという自己責任の考え方を啓蒙する。住民参加により居住環境を向上させることがこれからの課題でもある。金沢市は平成9年度より、助成割合を削減して3/4とした。さらに削減して1/2程度まで早急に削減するべきである。

 健康の維持のために医薬品は必要なものであり、適正に使用すれば,人の健康に役に立つことは理解できる。同時に薬付けにすると、逆にもともと持っていた人の体の治癒力が減退し,薬がなくては維持できず,さらには薬による害で健康が蝕まれかねない。これと同様に,農薬は生活環境維持のために、適正にしようすることは、やむ得ない面もあると想像できるが、毒には違いないので,植物がもつ抵抗力を維持しながら,必要最小限の使用にとどめることにするという考えに間違いはないと思う。

4.実際のアメリカシロヒトリの駆除は簡単!

(アメシロが好む樹木)
 駆除するには、アメリカシロヒトリがつきやすい樹木をまず見つける。アメリカシロヒトリが好む樹種は簡単にわかる。観察によると、黄緑色をした、大きな葉をもつ、柔らかい木である。
街路樹では、アメリカ楓、プラタナス、ヤナギなど。
公園樹では、サクラ、ウメ、ミズキ、ハナミズキ、クルミ、カシグルミなど。
果樹では、カキ、アンズなど。
農作物では、クワなど。
畑作物では、ダイズ、トウモロコシなど。

(産卵する樹木)
 好む樹木のうちから産卵する樹木を絞ることで、対象とする樹木は少なくなる。最も産卵する樹木は、プラタナス、アメリカ楓、クワ、ヤナギ、サクラなど数種に限られるという。したがって、産卵する樹木に着目して葉を除去すれば、駆除が効果的となる。各家庭では、産卵する木だけを管理し、産卵した葉を除去すればよい。タカバサミで除去しにくい場合、樹木の高さを押さえるなどの方法をとれば薬剤散布の必要(高い樹木の場合、タカバサミで除去できたいため)はなくなる。

(アメリカシロヒトリの生態と駆除)
 アメリカシロヒトリは、生態はつぎのようである(「緑化木・林木の害虫」農林水産省森林総合研究所による)。
@蛹(さなぎ)のアメリカシロヒトリが成虫になる(5月中旬〜6月中旬、7月下旬〜8月下旬)
A樹木の葉裏に産卵し、ふ化して幼虫になる(約10日)
B孵化した幼虫は巣網をつくり葉肉を食う(5齢幼虫くらいまで。筆者注:ふ化し約25-35日か、長野市の資料では10-12日くらい。)(写真5)
C巣網から抜け出して枝を移動してつぎつぎと葉を暴食する(6齢以降、筆者注:ふ化し約30-49日か、長野市の資料では10-12日を超えると分散する。)(写真6)
D木から降りて樹皮の割れ目などに入って蛹となる(7齢、筆者注:ふ化し約35-49日)

                     
                 写真5 巣網の中にかたまっている幼虫
                  
                   写真6 巣網から抜け出し分散する幼虫
 
 Bの時期に観察すると、葉が一枚あるいは数枚、葉脈を残して透けて見える。簡単に発見できる。この状態の時に、ちぎるか、タカバサミで切り取り、踏みつぶせば駆除できる。燃やす必要はない。
 竹竿の先の、油を染みこませた布に火をつけて巣網のついた枝葉をを焼くか、あるいは炎であぶることによっても毛虫を駆除できる。

 Cの状態になり、駆除しようとするのが、薬剤散布である。やむなく薬剤で防除する場合は、巣網を破って散布するか、高圧散布機で下記の薬剤を幼虫発生初期に1−2回散布する。幼虫が巣離れする時期に散布すると効果がある。巣網がない樹木を散布しても無駄である。アメリカシロヒトリの毛虫はいない。

 D丸坊主の樹木があり、近くのアメリカシロヒトリの好む樹木があれば、移動してとりつく。観察して適切な対処をすればこんなことにはならない。

アメリカシロヒトリの総合的な駆除方法はつぎのとおりである。
 @幼虫をつかまえ踏みつぶす(タカバサミ使用)あるいは炎で焼殺する(焼殺器の使用)
 A幼虫が成長し、動きが活発になり分散したら、薬剤の散布する(薬剤散布)
 B成虫をつかまえる(誘引捕獲器の設置、電撃殺虫器の設置)

(樹種の選択)
 また、駆除するのではなく、アメリカシロヒトリが好まない樹木を選択することも有効と考えられる。アメリカシロヒトリが繁殖しにくい街路樹の樹種を検討する。例えば、プラタナスに似ているが、なぜかトウカエデにはつかない(石崎さんによる。額新町で観察した。)。また、石崎さんによると、街路樹の高さを制限し、タカバサミで除去(高さ4m程度か)できるようにするのも一方法であるとことである。

(長野市の対応)
  各自治体の取り組みの中で長野市の対応は薬剤の使用量を少なくし、住民参加で確実な駆除方法を推進している点で注目した。長野市では、ユニークな方法として「焼殺器(しょうさつき)」が推奨されていた。どういうものかを尋ね、実物を送ってもらった。(写真7)に示すように、小さなリンゴくらいの大きさの石綿の塊を鉄製の容器に詰め込んだものである。これを棹の先に取り付けて使用する。石綿に灯油をしみ込ませて火をつけて、これを巣網に近づけて幼虫を火あぶりにするものである。炎が大きくなるようなしかけがしてある。約15分くらい、炎を維持できる。何回も使用できるのが特徴である。3年に1回は石綿を取り替える。地元の鉄工所で作ってもらい、長野市が販売(1,600円/個)している。年間200個くらい需要があるとのことである。電線や電話線を誤って焼いたりするトラブルは無いとのことである。
 他の自治体でも、類似の方法として、棹の先に布を巻き付けてこれに灯油を浸したものに火をつけて焼殺を奨めている例があったが、繰り返し使用できないので不便である。

               
                            写真7 焼殺器
 近くの公園で「焼殺器」の試行をしてみた(写真8)。アメリカ楓についた巣網に炎をあてると毛虫がボロボロと落ちてくる。炎を枯葉に触れさせても容易に枝葉に火はつかない。炎の高さも20-30pで危険性は少ない。

                 
                     写真8 焼殺器による駆除作業の様子

 アメリカシロヒトリの取り組みが熱心のようなので、長野市の担当者(農政課TEL:026-224-5037オサダさん)にいろいろと教えていただいた。
 他の自治体の取り組みと比較して、長野市の防除の特徴は、
@自己防除を基本にしていること
A防除方法は、焼殺器による防除、被害枝の切り取りを奨めていること
B市が薬剤防除を行うのは、高さが7m以上の位置に巣網が発生して前2つの方法で駆除が困難な場合としていること
などである。参考に添付資料3に「長野市アメリカシロヒトリ防除実施要領」を載せる。

 この方法が金沢で普及するかどうか、わからない。わずかなお金(助成があるので1/4の費用で済む)と業者に任せるので手間がかからない、他の毛虫も同時に駆除してくれるなどの理由から、金沢市で普及することは難しいかもしれない。しかし、薬剤散布による社会全体のリスクを考えて、薬剤散布を必要最小限にするかどうかは、住民の意思次第である。

5.アメリカシロヒトリ駆除を理由に駆除している毒蛾の対策は!

 金沢市の駆除作業では、アメリカシロヒトリ駆除を理由に他の毛虫の駆除も行われている。類似の街で被害をもたらす主な毛虫には、アメリカシロヒトリ、モンクロシャチホコ、オビカレハ、チャドクガ、イラガ、タケノホソクロバ、マツカレハなどである。これらの特徴を表3と図3に示す。

表3   街で人や植物に被害をもたらす主な毛虫

名称 人に被害 植物被害 発生する植物 発生時期 老熟
幼虫
体長
被害 人の被害の応急措置 駆除方法 備考
アメリカシロヒトリ - プラタナス、アメリカ楓、サクラ、ウメなどの落葉広葉樹 6月中旬〜7月初旬、8月中旬〜9月初旬に幼虫発生 約30mm 樹木全体の葉を暴食。人には無害。 葉についた幼虫を除去。ディプテレックス乳剤を散布。 樹木の害虫
モンクロシャチホコ - サクラ・ウメなどのバラ科、クヌギ、ナラ 8月中旬〜9月中旬に幼虫が発生 約50mm 樹木全体の葉を暴食。 葉についた幼虫を除去する。ディプテレックス乳剤を散布。 フナガラケムシとも呼ばれる。樹木の害虫
オビカレハ - サクラ・ウメなどのバラ科、ヤナギ、コナラなど。 3月下旬〜5月下旬に幼虫が発生。 約60mm 群生して葉を食害。 卵塊を冬季に除去。若齢幼虫を焼殺。ディプテレックス乳剤を散布。 テンマクケムシとも呼ばれる。樹木の害虫
チャドクガ チャ、ツバキ、サザンカなどのツバキ科の植物 4月下旬-5月上旬にふ化。6月中〜下旬に老熟幼虫となりちらばる。7月初旬に成虫。9〜10月に2回目の幼虫。10月中旬、2回目の成虫。 約25mm 卵塊・幼虫・成虫に触れると激しい痛み。かゆみが2-3週間続く。 こすらずに洗い流す。 抗ヒスタミン軟膏を塗る。 幼虫を土中に浅く埋める。薬剤散布する。成虫は光に集まるので電撃殺虫器を窓際に置く。 衛生害虫
イラガ カキ、ウメ、ナシ、サクラ、クリ、クルミなど 幼虫は6-9月頃に現れる。得に9月に多い。 約24mm 幼虫に触れると激痛があり、炎症。成虫は無害。 抗ヒスタミン軟膏を塗る。 冬に越冬繭を除去する。スミチオン乳剤を散布する。 農業害虫衛生害虫
タケノホソクロバ タケ、ササ 西日本では年3回発生する。幼虫の時期は5-9月。 約18mm 幼虫は毒針毛を持つ。虫に触れ、刺されると激しい痛みを感じ、赤く腫れる。かゆみは2-3週間続く。 セロテープではがしとり、抗ヒスタミン軟膏を塗る。 スミチオン乳剤を散布する タケケムシと呼ばれる。衛生害虫
マツカレハ マツ、スギ 幼虫は4月頃から活動し6月頃まで見られる。 約70mm 幼虫に触れると炎症。かゆみが10日〜3週間続く。成虫は無害。 水で洗う。抗ヒスタミン軟膏を塗る。 幹にまいたワラに虫を集め焼き捨てる。 幼虫をマツケムシという。衛生害虫

引用文献:『家庭害虫よサヨナラ!−ダニ・ゴキブリ対策はこれで万全−』、イカリ消毒、(株)保育社、『原色樹木病害虫図鑑』、奧野他、保育社
     『家屋害虫辞典』、日本家屋害虫学会編、井上書院、『緑化木・材木の害虫』、農林水産省森林総合研究所、小林他、(株)養賢堂
     チャドクガについては、http:infofarm.affrc.go.jp/~sshibat/insect/chado1.htmlによる。


(チャドクガの例)
 これらの街で人や植物に被害をもたらす害虫の中で、特にチャドクガは発生時期がアメリカシロヒトリと重なるのことや多くの人に被害を与えるので、アメリカシロヒトリの駆除を名目に駆除されることが多い。チャドクガはサザンカ、ツバキに繁殖する。葉の葉脈を残して、緑の葉の中に白い葉脈だけを残して食われるので、少し、観察すればすぐわかる。若齢幼虫のときは、毒刺を出さないので(石崎さんによると3齢くらいまではささないとのこと。)駆除しやすい。この害虫の成虫、幼虫、繭などに触れると激しいかゆみを感じるが、直接触れなくても、脱皮殻が乾いて毒毛が浮遊しているときには木のそばを通っただけでもかゆみを感ずることがある。毒やりのようなものを出すらしい。

ツバキやサザンカは低木であり、こまめに観察して、除去してやれば、防ぐことができる。成虫は光に集まるので、電撃殺虫器(誘蛾灯の一種)も有効である。

6.都市の居住環境の改善(緑化)について考える
 
都市の居住環境に快適性を持たせるために緑化を推進しようといわれて反対するものはあまりいないだろう。葉っぱが落ちてきたないとか、掃除が大変であるとか、苦情もあるだろうが、比較的簡単に解決できることである。虫や毛虫が発生して気持ちが悪い、あるいは毛虫に刺されて被害を受けたということになると、少し深刻になる。樹木そのものを伐採してしまうこともある。そこまでに至らなくても、薬剤の散布で駆除することは普通に行われることである。

 現在、行われているアメリカシロヒトリの駆除を見てみると、まさに、この毛虫と住民の関係、そのものである。緑の樹木と毛虫はつきものである。毛虫を薬剤散布で駆除しようとすると、永久にすべての樹木を毎年、薬剤散布をせざるをえなくなる。実際に、実施している。アメリカシロヒトリ駆除を名目に、かなりの住民感情は毛虫が気持ち悪いから、毛虫がきらい!、残らず駆除して欲しいという、毛虫皆殺し作戦である、

 簡単にわかることは、毛虫を食べる鳥類を間接的に皆殺しにすることを意味する。これはおかしいことは誰でもわかる。人間も生態系を構成する1動物であり、ほかの構成者とどう共生するかが、今後の課題であるはずである。 "シジュウカラ"は、アメリカシロヒトリの幼虫を大量に食餌するという。餌が無くては、シジュウカラは生きられない。まして、アメリカシロヒトリは人間に全く、害はない。柔らかい葉の樹木を丸禿げにするまでパクパク食べるだけのことである。この虫と適当な間隔で共生できないとすると、共生などという目標を掲げるのはおこがましいかもしれない。

 金沢市の考え、方針はどうなのだろうか。金沢市の「緑の基本計画」を調べてみた。平成6年の都市緑地保全法の改正に伴い、以前の計画が見直され、平成10年に作成された。基本理念と計画の目標および基本政策、総合的な緑地の配置と将来像、緑と親しみ、緑をつたえる、緑の都市宣言/緑の役割、からなる。多様で豊かな緑の環境を送出しようとある。緑の都市宣言では、「緑は、すべての生命の根源であり、自然の健やかな脈拍そのものである。人類の生存と繁栄のために、失われゆく緑を回復し、保全し、発展させ、かけがえのない自然を守り続けたいと願う。この願いをこめて、私たちすべての市民は、うるわしい自然を今に伝える、誇り高き"森の都金沢"を永遠の緑のまちにすることを宣言する。」(昭和49年6月12日議決)

そして、緑の役割は、
空気をきれいに: 樹木は空気中の二酸化炭素を吸収し、酸素を放出しています。
街に潤いを: 緑は、都市の景観に潤いを与え、快適な生活空間をつくります。
気象をおだやかに: 樹木は葉からの水分蒸発作用で夏の暑さをやわらげたり、湿度を適当に保ってくれます。
心身のリフレッシュ: 森の中で木々の香りをかぎ、新鮮な空気を吸い込むと、心身がリフレッシュします。
水を保つ: 森林は、雨水を一度に流さないで貯めて水害を防ぐ働きをします。
防音・防災の効果: まとまった緑は騒音をやわらげたり、防火や防風に効果があります。

 となっている。何かが足りないと思ったら、鳥や小動物など他の生態系を構成する要員との共生という視点が抜けている。抜けているというよりも、抜かしたのだろうか。これでは、毛虫皆殺し作戦を実行しても、緑の基本計画の精神に反しない。どころか、この方針にしたがって、街中の薬剤散布が行われていることになる。

これからの街づくりをどのようにするか、再度、見直しする必要があるのではないだろうか。緑の樹木の役割は、鳥や小動物、昆虫などと共生できる都市環境の創造という意義もあるのではなかろうか。木々の間から、鳥のさえずりが聞こえ、そばを蝶が群れ遊ぶことで、都市空間に潤いを加えることができるのではないか。人間も生態系の一員であり、人工的な都市空間も可能な限り、他の生物との共生を理念としてかかげるべきではないだろうか。野鳥の住めるまちづくりも緑の役割の一つとしてはどうだろうか、とすると「緑の基本計画」の方針の見直しも必要である。

7.都市の居住環境の安全性(化学物質汚染)について考える

 まちの緑を維持するために毎年、大量の薬剤が知らない間に(少なくとも筆者は知らなかった!)散布されているが、われわれの健康(特に赤ちゃん、児童、妊婦など)は大丈夫か、住環境をよくするために緑化が推進されているが、それと引き換えにとんでもない環境悪化を引き起こしているのではないかと不安があるが行政はその不安に明確に答えない。縦割り行政で,緑化を推進するところは、緑化が大義名分で,葉が虫食いになるとたいへんということで、低毒性で分解も早く、安全な農薬ということで積極的に大量の農薬を使用しているが、住民の健康への影響は本当に大丈夫なのだろうか。

 アメリカシロヒトリ駆除を理由に大量の薬剤散布せざるを得なくなったのはどうしてか。永久に大量の薬剤を街中で散布を続けていかなければならない。こんなことを続けても大丈夫なのか、安全なのか、子孫へ重大な被害をもたらすのではないか、各行政機関で明確な答はなかった。だれもそのリスクについてよくわからないということが結論である。担当者は上級官庁の判断や基準に依存しているだけで、安全性について納得できる答えができない。

 主に使われている薬剤は、ディプテレックス(一般名:トリクロルホン)という有機りん系殺虫剤(農薬取締法により、農薬登録)であり、比較的、低毒性で分解も早い、ほ乳類への影響も少ない、かなり安全性は高いのではないかということということはわかった。それでは、このような農薬を安全だからといってどんどん、使用していいのであろうか、これについては、多少なりとも害があるには違いないので、誰に聞いても必要最小限に留めるべきであることに異論のある人はいなかった。DDTの例もある。世紀の大発明といわれ、安全な農薬の代表であった。生物濃縮による毒性、環境ホルモン、発ガン性のある農薬であることがあとになってわかり、現在では使用禁止となった。

有毒性、発ガン性については安全性が高いとしても下記のような人間に対する危険性が山のように存在している。
 環境ホルモンの働きはないのか:人間の生殖機能に害する心配はないのか。
 変異原性はないのか:遺伝子に突然変異を起こす働きはないのか。
 不純物に問題ないか:工業製品であり、不純物を含んでいる。その不純物に危険なものがある恐れがある。ベトナム戦争で撒かれた枯葉剤に不純物としてダイオキシンが含まれていた。また、70年代に日本の除草剤生産量の約3割を占め、水田で大量に使用されたCNP(クロルニトロフェン)は不純物としてダイオキシンが含まれていたことがわかった。農林省は農地土壌と農作物のダイオキシン類汚染の調査を始めていると報道された(朝日新聞、1999年7月9日)
 分解物の問題はないか:自然界あるいは取り込まれた生体内で変化して毒性を発揮するものがある。トリクロルホンは、哺乳類の体内でジクロルボスに変化、コリンエステラーゼ活性を低下させるという。
 複合毒性の問題はないか:他の化学物質と同時に存在することで毒性が強くなる。
 残留性の問題はないか:土壌中で分解されるといっても、近線で減少するのだろう、チリも積もれば山となり、危ないのではないか。
 生物濃縮の問題はないか:トリクロルホンは体外へ排出されやすいというが。
 化学物質過敏症を引き起こしたり、アレルギーを悪化させないか:個人差が大きく、一度発症すると様々の微量の化学物質に過敏になる傾向があるので恐ろしい。

 低毒性といっても有機りん系農薬の危険性についていろいろ懸念が報告されている。日本体育大学女子短期大学の上野純子氏らは94年の日本臨床環境医学会で「視力不良をもたらす環境要因−特に有機リン系殺虫剤について」という報告を行っている。子供たちの視力が低いと指摘されている地域と有機リン系殺虫剤が大量に散布されている地域の影響を考察したものである。また、北里大名誉教授石川哲氏は、
「農薬や床磨き用ワックスなどに含まれる有機リン剤は、微量でも長期間、体に取り込めば、視力低下のほか、無気力や情緒不安定を引き起こす。」
「子供は大人より呼吸量が多く、それだけ空気中の化学物質を多く体に取り込む」
と言っている。
 
 また、実際に行っている薬剤散布は低濃度のため、ほとんどの人は反応しないが、個人差が大きい。
「埼玉県の久美子さん(32)=仮名=の長女は、公立小学校の1年生。入学して間もない、昨年5月の授業中だった。校庭を囲む桜の木に、アメリカシロヒトリ駆除のための有機リン系農薬トリクロルホンが散布された。教室の窓はしめられていたが、長女は帰宅した昼過ぎに、体中が真っ赤にはれ上がり、かゆさで七転八倒した。もともとアトピーで通院していたが、症状の激しさに久美子さんもたじろいだという。幸い、薬を飲ませて3,4時間寝かせたら治まった。」(シックスクール・化学物質に悩む子供たち、毎日新聞、1999年3月26-27日)

(農薬の安全性について)
 農薬は人間に害があるのは当然で、農林省に農薬登録されたものでも、毒性、残留性など害があり、適正な使い方をすれば、その範囲で安全性を確保できるというものにすぎない。単純に安全であると信じている人たちがいる、関係者の間から、飲んでも大丈夫だというような、極端な話が飛び出したくらいであるから、一般の住民が単純に安全だと信じるものがいてもおかしくはない。

 アメリカシロヒトリ駆除に多用されているトリクロルホンについて、国際的な協力の下で、化学物質のリスク評価のために、科学的知見を集約した、IPCS(International Programme on Chemical Safety,国際化学物質安全性計画)による「環境保健基準」があるので、巻末にトリクロルホンの情報を載せた。

大量に使用されている農薬などの化学物質を、このまま放置して置いてよいのであろうか。どうしたらよいのであろうか。折しも、PRTR法(「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」、略して「化学物質排出管理促進法」)が1999年7月7日の参議院本会議で可決、成立した。PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:環境汚染物質排出移動登録)は、「様々な排出源から排出又は移動される潜在的に有害な汚染物質の目録若しくは登録簿」で、一般に、事業者の報告などに基づき、行政が化学物質の排出量又は廃棄物に含まれている移動量のデータを収集し、収集したデータを目録などの形に整理し、これを広く公表する。PRTRは、行政・事業者・市民が情報を共有しつつ化学物質のリスク管理に役立てようとする環境保全のための新しい手法である。PRTR法施行以来、米国で劇的に化学物質の使用量が減り、社会全体としてのリスクが減ったとの報告もある。

つぎつぎと新たな化学物質が出現している状況から、従来のような、個別の物質の排出規制だけでは、対応できなくなったことから、生まれた知恵である。2001年から、施行されるとのことである。
 環境庁では、PRTRの導入に先駆けて、平成9年からPRTRパイロット事業を神奈川県及び愛知県の一部で進めてきた。対象化学物質は178である。この中に「トリクロルホン」を取り上げてはいないが、法規制のある「ジクロルボス」は含まれている(トリクロルホンはほ乳類の体内でジクロルボスに変化する)。また、先行して実施されている米国では、1994年に大幅に286物質(殺虫剤150物質を含む。)に追加され、576物質が対象となっている。農薬は監視の対象となる物質の主なものである。

この法律を作成する過程で、環境庁によって、「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方に係る国民意見」が徴集されたので、農薬等に関する意見を拾ったものが以下のとおりであり、参考に添付する。

今後の化学物質による環境リスク対策の在り方に係る国民意見の概要
(環境庁調べ、平成10年)
(提出された意見のうちの街路樹の薬剤による害虫駆除に関する意見)
・全国各市町村がどれだけ農薬を使っているか、マスコミを通じて知りたい。(街路樹に使っているものについても)
・農薬がどの程度安全なのか知らされていない。具体的に知らせる機関が身近な役場等にあればよいと思う。
・公園、街路樹に散布する農薬の種類とその散布時期
・地方自治体が有害化学物質(疑われるものも含む)を使っている公共施設と化学物質の種類、年間の使用量を提示する法律が欲しい。
・安全性の立証されていない化学物質についても対象としてほしい。農薬や殺虫剤についてもその使用量がわかるようにしてほしい。
・私たちの町でどのような農薬がどれだけ使用されているのかわかるような法律にすること。市町村役場が使っている殺虫剤の量(種類)もわかるようにすること。
・自分たちの住んでいる町で様々な化学物質がどれくらい使われているのか、またどのようなものがどれくらいあるかなどの情報がすぐわかるようにしてほしい。
・住んでいる町で全体としてどれだけ農薬が使われているかわかる法律にしてほしい。
・地方自治体において簡単に情報が得られるようにしてほしい。またインターネットによる広くデータを公開してほしい。

8.結論 
(都市の居住環境の快適性と安全性は行政任せでは解決できない。
住民の関与に
比例する!)

 トレードオフの関係にある。住民が工夫し、知恵を出し、労力を惜しまずに実行すれば、必要な農薬散布量は最小限に収まり、安全性は高くなるだろう。これに対して、この知恵と労力を行政に頼る、あるいは他のところに向けることを選択し、何もしなければ、結局、費用を負担して頻繁な薬剤散布に頼らざるを得ないだろう。その分、安全性は低下することになる。

 火の用心のしくみがあるのであれば、木の用心のしくみがあってもよいのではないだろうか。消防車があるのなら、防除車があってもよい。みどりは住民がまもる!

 現在の方法は、毛虫皆殺し作戦である。無害でいい毛虫も毒毛虫もすべて殺す。害のある毛虫を退治するには、発生時期に1週間に1回程度の観察、害のある毛虫のついた葉の除去、害の毛虫の除去などの作業が必要となる。これらの作業が面倒であれば、放置後、発生した後、薬剤散布ということになる。家の中の掃除と同じ事で、毎日、掃除をして、清潔に保てば、害虫の発生はほとんど防げるが、掃除をしなければ、害虫が発生し、バルサンに頼らざるをえないのと似ている。安全性を重視するか、利便性を重視するか、住民自身が選択するべき事だろう。

 ただし、少なくとも、行政は住民に理解を求め、日常の緑の維持管理の重要性を啓蒙し、薬剤散布以外の方法を推進するべきである。薬剤散布は最後の手段と考え、助成は半分程度とし、薬剤散布を制約する方向にするべきであろう。


【添付資料】
1. アメリカシロヒトリ(Hyphantria cunea)
(出典:『緑化木・材木の害虫、農林水産省森林研究所』小林他,(株)養賢堂)


 加害樹種は極めて多く、100種以上を数える。特に好む樹種は、サクラ・スズカケノキ・クワ・クルミ・ヤナギ・ポプラ・ミズキ・アメリカハナミズキ・シラカンバ・カキ・ハンノキ・エノキ・ニセアカシアなど落葉広葉樹が主である。スズカケノキ(プラタナス)の街路樹での発生が最も顕著である。老熟して単独行動するようになった幼虫は常緑広葉樹の硬い葉も食う。
 本種は北米大陸が原産地である。第二次大戦後、米軍貨物についた蛹が日本に入り、東京で初めて発生したものと推定されている。その後、急激に分布を拡大し、現在東北から関東・中部地方に定着し、一部は奈良・兵庫・福岡に飛び火した。わが国に限らず、第二次大戦に前後して中欧・東欧にも侵入し、それより遅れて韓国・中国にも侵入した。発生場所は都市、人家周辺に限られ、森林に侵入しないのは興味深い。その理由としては、鳥・昆虫による補食の多少があげられている。

形態:成虫は開帳25〜30mm、翅も体も無紋の白色。第1回発生の雄の前翅には多くの場合、黒紋を散布する。老熟幼虫は体長約30mm、頭部は光沢ある黒色、胴部の背面は灰黒色で側面は淡黄色。各体節の丸いこぶから長い白毛を密生する。毛の色は側面が白色で背面は一部黒色のものが混じる。

生態:1年に2回の発生。蛹で越冬し、第1回成虫は5月中旬〜6月中旬に出現する。卵は葉裏に200−800粒をかためて産みつける。第2回の成虫は7月下旬〜8月下旬に出現する。この成虫は日没後1時間をピークとして羽化し、暫くすると盛んに飛しょうし、2,3時間後葉に止まり静止する。雄は夜明け前に配偶行動のための飛しょうを盛んに行い雌を求めて交尾する。雌は交尾が終われば直ちに産卵を始め、1卵塊を産み終われば死ぬ。
 卵は淡黄色で卵期間は10日。ふ化〜若齢の幼虫は淡黄色。ふ化幼虫は卵殻を食ってから葉を食べ始める。卵塊ごとの集団で糸を張り巣をつくって葉肉のみを食い葉皮と葉脈を残す。このため小枝単位で数枚の葉が白っぽくなり遠方からもみつけられる。この状態はふ化後5齢幼虫ぐらいまでつづくが、6齢以降は巣をでて分散し単独で葉を丸ごと食う。7齢になり老熟すると樹から降りて樹皮の割れ目、羽目板の裏などに入って、体毛の混じった白色の薄い繭の中で蛹となる。蛹は体長15mm前後で、光沢ある赤褐色ないし黒褐色である。

防除:巣の中に集団でいる若齢幼虫は、食害をうけて白色になった葉によって容易に発見できるので、これを枝葉ごとに除去するか、棒の先に火をつけて巣を焼くのが最も効果的である。この方法は幼虫が分散する前に行わなければ意味がない。
 巣の除去が困難な場合には薬剤を散布する。なるべく若齢幼虫期を狙ってディプテレックス・DDVP・スミチオンの乳剤または水和剤(1,000倍液)を散布する。脱皮阻害剤デミリンやBT製剤も有効である。
(小林富士雄)

2.IPCS(International Programme on Chemical Safety,国際化学物質安全性計画)によるトリクロルホンの「環境保健クライテリア」

33.トリクロルホン
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環境保健クライテリア 132
Environmental Health Criteria 132
トリクロルホン Trichlorfon
(原著162頁,1992年発行)
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作成日: 1997年2月24日
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1. 物質の同定、物理的・化学的特性、分析方法
2. 暴露
3. 摂取・代謝・排泄
4. 環境中の生物への影響
5. 実験動物およびin vitro(試験管内)試験系への影響
6. ヒトへの影響
7. 結論
8. 勧告
9. 国際機関によるこれまでの評価

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1.物質の同定、物理的・化学的特性、分析方法
a 物質の同定
化学式 C4H8Cl3O4P
化学構造 省略

分子量 257.44
一般名 trichlorfon(ISO)
その他の名称 chlorofos, DEP, DETF, dipterex, dimethyl1‐hydroxy‐2,2,2‐ trichloroethanephosphonate, O,O‐dimethyl(2,2,2‐trichloro‐ 1‐hydroxyethyl) phosphonate, metrifonate, foschlor, trichlorofon, trichlorphon
商品名 Agroforotox, Anthon, L 13/59, Bilarcil, Cekufon, Danex, Dipterex, Ditriphon, Dylox, Dyrex, Dyvon, Masoten, Metrifonate, Neguvon, Proxol, Tugon, Wotex
CAS登録番号 52‐68‐6
CAS化学名 dimethyl 2,2,2‐trichloro‐1‐hydroxyethylphosphonate
RTECS登録番号 TA0700000
換算係数(25℃,760mmHg)
1 ppm = 11.4 mg/m3
1 mg/m3 = 0.088 ppm
 
b 物理的・化学的特性 a
物理的状態 無色結晶
沸点(0.1mmHg) 100℃
融点 83〜84℃
比重(20℃/4℃水 ) 1.73
蒸気圧(20℃) 7.8×10−6 mmHg
揮発度(20℃) 0.022 mg/m3
溶解性(25℃) 水 15.4 g/100ml
ベンゼン 15.2 g/100ml
クロロホルム 75.0 g/100ml
ジエチルエーテル 17.0 g/100ml
n−ヘキサン 0.08 g/100ml
オクタノール/水分配係数 0.57
(log Pow)  
腐食性 金属に対して腐食性を有する
 a; Giang et al.(1954), FAO/WHO (1972), Derek(1981), IARC(1983)より引用 
表 トリクロルホンの構成成分(工業規格品)a
 ―−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
純度 トリクロルホン 98%以上
不純物 2,2‐dichlorovinyl dimethyl phosphate 主な不純物
dichlorvos 0〜0.2%
trichloroacetaldehyde 0〜0.05%
dichloroacetaldehyde 0〜0.03%
methyl hydrogen 2,2,2‐trichloro‐1‐hydroxyethylphosphonate 0〜0.3%
(demethyl trichlorfon 0〜0.3%)
水 0.3%未満
   工業製品は phosphoric acid, 2,2,2‐trichloro‐1‐hydroxyethylphosphonic acidおよび dimethyl phosphiteを含有する b
 ―−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 a; FAO/WHO (1972)より
 b; FAO/WHO (1972), Melnikov et al.(1975)より

 ヒトを含む哺乳類におけるトリクロルホンの主な分解生成物は、トリクロルホンの少なくとも100倍のコリンエステラーゼ阻害活性を有するジクロルボスである(Hofer,1981)。トリクロルホンは、哺乳類の体内では、特に重要なことに、住血吸虫に対するジクロルボス作用の「徐放性の発生源」(slow release source)として作用する、ということができる(Nordgren,1981;Nordgren et al.,1978)。
 本書においては、トリクロルホンに直接関係のある情報についてのみ検討し評価する。
 ジクロルボスの健康および環境への有害性の評価については、読者は環境保健クライテリア(EHC)No.79の「ジクロルボス」(WHO,1989)を参照されたい。さらに、有機リン系殺虫剤の一般の影響に関するよりまとまった論文、特に神経系への短期および長期の影響とその処置については、EHCNo.63の「有機リン系殺虫剤−総説−」(WHO,1986)を参照されたい。
 トリクロルホンの毒性と有害性についての、1983年までの旧ロシアの文献の総合的なレビューは国際有害化学物質登録制度(International Register of Potentially Toxic Chemicals)により発行されている(IRPTC/GKNT,1983)。

2.暴露

 トリクロルホンは、1950年代の初期より使用されている有機リン系殺虫剤である。農業では、それは主として畑地や果実園の農作物の害虫に対して用いられている。また、トリクロルホンは森林害虫や家畜の寄生虫の駆除にも使われている。トリクロルホンはメトリホネート(Metrifonate)の名前で、ヒトのビルハルツ住血吸虫Schitosoma haematobium(訳者注:尿性または膀胱性住血吸虫の病原体で、成虫はヒトの膀胱に寄生する。終宿主はヒトとヒヒで、中間宿主は淡水貝である)の寄生の治療に用いられており、それはジクロルボスの徐放性の発生源と見なされている。トリクロルホンは、乳剤・粉末剤・顆粒剤・粉粒剤・液剤・微量散布剤(ultra‐low volume concentrates)として入手できる。
 トリクロルホン殺虫剤の大気中濃度は、散布後間もなく0.1mg/m3程度までになり得るが、数日内には0.01mg/m3以下に減少する。散布地域からの流出水中のトリクロルホンの濃度は50μg/l程度であるが、表層水中の濃度は通常はずっと低く、急速に減少する。
 トリクロルホンは土壌中で速やかに分解し、一般的には、施用後一か月以内には、無視し得る濃度にまで減少する。また、水中ではpH5.5以下で比較的安定である。より高いpHでは、トリクロルホンはジクロルボスに変化する。微生物および植物はトリクロルホンを代謝すると考えられるが、最も重要な除去経路は非生物的な加水分解である。
 少数の例外を除いては、トリクロルホンの農作物への残留は、施用当日では10mg/kg以下で、2週間後には0.1mg/kg以下に減少する。
 害虫駆除にトリクロルホンを使用した牛のミルクは、施用2時間後では1.2mg/l程度まで残留し得るが、24時間後には0.1mg/l以下に減少する。トリクロロホン処理された動物の肉には、有意のレベルのトリクロルホンは見出されていない。また、トリクロロホン処理された鶏の卵には0.05mg/kgのトリクロロホンの含有が見出された。

3.摂取・代謝・排泄

 トリクロルホンは、すべての暴露経路(経口・経皮・吸入)により容易に吸収され速やかに体組織に分布する。最高血中濃度は1〜2時間以内に検出され、血中からはおよそ1.5〜4時間の間に完全に消失する。哺乳類の血液中におけるトリクロルホンの生物学的半減期は30分程度と推定されている。
 トリクロルホンは、pH値5.5以上では、水中・体液中・体組織で脱塩化水素作用によりジクロルボス[(2,2−ジクロロビニル)ジメチルリン酸]に変換される。主要な分解経路は、脱メチル化、P−C結合の開裂、ジクロルボスを経てのエステル加水分解である。In vivo(生体内)におけるトリクロルホンの主要代謝生成物は、脱メチルトリクロルホン・脱メチルジクロルボス・ジメチルリン酸・モノメチルリン酸・リン酸・トリクロロエタノールである。最終の代謝生成物はグルクロン酸抱合体として尿中に見出される。
 トリクロルホンとその代謝生成物は、主として尿を介して排出される。(14C−メチルおよび32P−)ラベルのトリクロルホンを用いた研究では、ほとんどが水溶性物質として、また、微量がクロロホルム可溶性のかたちで排出された。12時間以内にほぼ66〜70%の水溶性の生成物が尿中に出現し、14C−メチルラベルの24%が呼気中に二酸化炭素として排出された。経口および経皮処理後の牛のミルク中に低濃度のトリクロルホンとその代謝生成物が検出されている。

4.環境中の生物への影響

 トリクロルホンは魚類に対して中程度の毒性[96時間のLC50(50%致死濃度)値は0.45〜51mg/lの範囲内]を、また、水生節足動物(訳者注:エビ・カニなど)に対しては中程度から高度の毒性(48時間/96時間のLC50は0.75μg/lおよび7,800μg/lの範囲)を示す。しかし、森林における6kg/haのトリクロルホンの散布後の表層水中の濃度は、これらの範囲には達しない。
また、軟体動物や微生物などのような他の生物は節足動物よりも感受性が低いため、正常の使用では、トリクロルホンは水生生物の個体数に対しての影響はほとんどないかあるいは全くないであろう。実験室の試験からのLD50(50%致死量)値の40〜180mg/kgは、トリクロルホンの鳥類に対する毒性は中程度であることをを示す。しかし、野外試験では、トリクロルホンの空中散布後において、森林鳴禽類の個体数・繁殖の形成・営巣・死亡率への影響は見られなかった。鳴き声の減少と摂食活動の増加が観察されたのは、餌にしている生物の減少のためであろう。トリクロルホンが節足動物以外の陸生生物に有害な影響を与える徴候はない。有益な節足動物への影響についての情報はない。

5.実験動物およびin vitro(試験管内)試験系への影響

 トリクロルホンは実験動物に対し中程度の毒性を示す殺虫剤である。トリクロルホンの工業製品原体の実験動物に対する経口のLD50値は400〜800mg/kg体重であり、ラットに対する経皮のLD50値は2,000mg/kg体重より高い。
 トリクロルホンの中毒では、神経末端部におけるアセチルコリンの蓄積による通常の有機リン酸塩によるコリン作動性の徴候が見られる。
 トリクロルホンの工業製品は、ラットの眼に中程度の刺激性を示したが、ウサギの皮膚試験では刺激は見られなかった。モルモットでは皮膚感作(訳者注:過敏状態の誘発)の可能性が示された。
 短期経口毒性試験が、ラット・イヌ・サル・ウサギ・モルモットを用いて実施された。ラットの16週間、イヌの4年間(訳者注:?;原著のまま)、サルの26週間の試験において、無影響量(NOELs:no‐observed‐effect levels)はそれぞれ100mg/kg食餌、50mg/kg食餌、0.2mg/kg体重であった(血漿・赤血球・脳のコリンエステラーゼ活性に基づき)。ラットの3週間にわたる吸入暴露では、血漿・赤血球・脳のコリンエステラーゼ活性阻害に基づいて、12.7mg/m3のNOELが示された。長期毒性/発がん性試験が、経口・腹腔内・経皮投与によりマウス・ラット・サル・ハムスターについて行われた。マウスに対する30mg/kg体重およびラットに対する400mg/kg食餌の経口暴露後に、生殖腺への有害影響が見られた。ラットの24か月試験およびサルの10年間の試験により、無毒性量(NOAELs:no‐observed‐adverse‐effectlevels)は、それぞれ50mg/kg食餌および0.2mg/kg体重と決定された。入手し得るデータでは、数種類の投与経路による試験動物への長期暴露後において、発がん性の証拠は得られていない。
 生理学的条件下では、トリクロルホンはDNAをアルキル化する特性を有する、と報告された。トリクロルホンの変異原性は、陽性および陰性の両方の結果が得られている。観察された影響については、部分的あるいはその全てについてジクロロボスが原因物質と考えられる。細菌類および哺乳類細胞によるin vitro(試験管内)の変異原性試験の大多数は陽性であったが、一方、in vivo(生体内)試験では陽性の結果はほとんど得られていない。
 マウス・ラット・ハムスターによる試験においては、トリクロルホンは母獣への毒性を示す高用量で、ラットに催奇形性を示した。ラットの妊娠期間中へのトリクロルホン145mg/kg食餌の暴露により、胎児の奇形が見られた。また、ハムスターにおける食餌中の用量400mg/kg体重の胃中挿入投与は、母獣への毒性と催奇形性が認められた。ラットにおいて催奇形性を示す食餌の胃中挿入投与による最小用量は80mg/kg体重であった。この影響は妊娠期間中の時期に特異的と考えられた。この食餌の胃中挿入投与試験により、8mg/kg体重のNOELが決定された。
 ラットに対しては8mg/kg体重、ハムスターについては200mg/kg体重のNOELsが示された。中枢神経系を含む催奇形性反応は、ブタおよびモルモットにおいても報告されている。
 しかし、ラットの3世代生殖試験では、高用量では生殖に有害影響が見られたが、催奇形作用は観察されなかった。この試験におけるNOELは300mg/kg食餌であった。
 きわめて高い投与量では、動物に神経毒性作用を生じさせた。
 哺乳類に活性を示す変換生成物は、抗コリンエステラーゼ作用においてトリクロルホンの少なくとも100倍以上の強さを有すると推定されるジクロルボスである。

6.ヒトへの影響

 意図的な(自殺の)あるいは事故による暴露の数例の急性中毒が発生している。中毒の徴候と症状は、極度の疲労・脱力感・錯乱状態・過度の発汗と唾液分泌・瞳孔縮小・筋肉痙攣などのアセチルコリンエステラーゼ阻害の特徴を示している。重篤な中毒例では、意識喪失・ひきつけを経て、通常は呼吸不全により死亡する。治療により命が助かった犠牲者の場合には、時には下肢の脱力感を伴う遅発性の多発神経障害が、暴露数週間後に発症する。死亡事例の解剖所見では、脳・脊髄・自律神経節の虚血性の病変、脊髄および脳脚の髄鞘の損傷、末梢神経の軸索の構造的変化が示された。
 数例の職業中毒は、主として安全基準の無視から発生している。気中濃度が0.5mg/m3をこえる作業場での職業的暴露により、血漿コリンエステラーゼの減少と脳波パターンの変化を生じた。しかし、これらの影響は、暴露中止により完全に可逆性であることを示した。皮膚感作の事例は報告されていない。
 本化合物は、ヒトの住血吸虫症の治療に広く用いられてきた。その単回投与(7〜12mg/kg)はコリン作動性の症状の発現なしに、40〜60%の範囲の血漿および赤血球のコリンエステラーゼ阻害を生じさせた。しかし、反復投与では軽度の症状が観察された。高用量(24mg/kg)の投与では、重度のコリン作動性の症状を発生させた。

7.結論 

− トリクロルホンは、中程度の毒性を有する有機リンエステル系の殺虫剤 である。その製造・使用中の取り扱い、事故によるあるいは意図的な摂取からの過暴露は重篤な中毒を発生させるであろう。
− トリクロルホンの一般集団への暴露は、主として農業と家畜への使用、ビルハルツ住血吸虫の治療において起こる。
− 報告されたトリクロルホンの取り込みは、FAO/WHO(国連農業食料機関/世界保健機関)により設定された一日許容摂取量(ADI:Acceptable Daily Intake)よりはるかに低く、一般集団に健康の危険性を与えるものではない。
− 作業規範・衛生上の注意・安全基準の遵守により、トリクロルホンは職業上の暴露の危険をもたらすことはないであろう。
− トリクロルホンは、標的外の節足動物への高い毒性にもかかわらず、環境内の生物の個体数への有害影響がほとんどない、あるいは全くなく使用されてきた。

8.勧告

− 作業者および一般集団の健康と福祉のため、トリクロルホンの取り扱い
と施用は、十分に管理、訓練され、適切な安全基準を遵守し、実施基準に従ってトリクロルホンを取り扱う者にのみ任せるべきである。
− トリクロルホンの製造・製剤・農業における使用・廃棄は、環境、特に表層水の汚染を最小にするため、慎重に管理すべきである。
− 定期的に暴露される作業者および患者は、定期的な健康診断を受けなけれねばならない。
− 標的外の節足動物類への影響を避けるため、トリクロルホンの施用率を制限すべきである。本殺虫剤は水面あるいは水流に向かって散布してはならない。

9.国際機関によるこれまでの評価

 トリクロルホンは、国連食糧農業機関(FAO)/世界保健機関(WHO)の合同残留農薬専門家委員会(JMPR)により、1971年、1975年、1978年に評価を受けた(FAO/WHO,1972,1976,1979)。1978年に、次のレベルは毒性学的影響を生じさせないとの事実に基づいて、JMPRはヒトに対する0〜0.01mg/kg体重の一日許容摂取量(ADI)を設定した。
 ラット: 50mg/kg食餌で2.5mg/kg体重に相当する。
 イヌ: 50mg/kg食餌で1.25mg/kg体重に相当する。
 1986年、FAO/WHOの規格委員会(Codex Committee)は、特定の食品に最大残留基準(Maximum residue limits:MRLs)を勧告した(FAO/WHO,1986)。これらの範囲は作物当り0.05〜2mg/kgである。
 トリクロルホンは、1983年、国際がん研究機関(IARC:International Agency for Research on Cancer)ワーキング・グループにより評価を受けた。ヒトにおける発がん性のデータはなく、実験動物による発がん性の証拠は不十分、とされた。トリクロルホンは、グループ3すなわちヒトに対して発がん性を示す物質とは分類できない、と評価された(IARC,1983,1987)。
 1990年にWHOは、トリクロルホンの工業製品について「軽度の危険性を有する」の物質(クラスV)と分類した(WHO,1990)。トリクロルホンに関するデータシート(No.27)は1977年にWHOにより発行されている(WHO/FAO,1977)。
3.長野市アメリカシロヒトリ防除実施要領

(目的)
第1 緑の大敵アメリカシロヒトリ防除の実施について、徹底を図るため必要な事項を定めるものとする。
(主唱)
第2 長野市、長野市区長会、長野市環境衛生連合会及び長野市農協協議会
(防除方針)
第3 1. 防除は市民総ぐるみ運動とする。
2. 早期発見、早期防除を基本に、虫の巣がある枝の切り取り及び焼殺を主体とする。
3. 1化期の6月は、樹木の高さ4メートル以下の場所に産卵するので、この時期に撲滅を図る。
(発生の調査)
第4 調査は関係機関の協力を得て発生状況を把握し防除適期を確認する。
(防除時期)
第5 防除時期は発生調査に基づき早期防除をたてまえとして決定するがおおむね次のとおりとする。
 1.切り取り及び焼殺等防除期間
  1化期 6月上旬〜7月下旬
  2化期 8月上旬〜9月下旬
 2.防除の徹底を期するため1化期、2化期それぞれ防除デーを設定し全市一斉に隣組単位で防除を行う。
(防除基準)
第6 次の基準により防除の徹底を図る。
1.個人所有の樹木については、所有者が防除する。
2.神社、仏閣、その他公共的性格を有するものについては次により市が薬剤防除を行う。
ア. 防除樹木
樹高が7m以上の位置に発生している樹木で被害枝の切り取りまたは焼殺が困難な樹木であること。
イ.防除申請
 申請単位は区とし、区長が一括申請書(様式別紙)を市長に提出する。
ウ.防除立会い
 薬剤防除をする場合は、申請者が案内し立会うものとする。
エ.薬剤
 薬剤は市が準備する。
 市有公共施設については、所管課が防除する。
(防除方法)
第7 次の方法により防除を行う。
1.焼殺器による防除
 幼虫の巣を焼殺器などで防除する。
2.被害枝の切り取り
 防除効果を高めるため若齢幼虫による被害枝を切り取りし、踏みつぶす。(防除作業中の危被害防止に留意する。)
4.総合防除という考え方
「新応用昆虫学 -改定版-」(朝倉書店発行)から引用

 殺虫剤の不用意な多用は,@生態系の単純化による害虫密度の増大,A害虫の殺虫剤抵抗性の発達,B今まで重要でなかった害虫の勢力の増大,C殺虫剤残留による人畜や自然界の生物への悪影響などの問題が起こってきました。1965年FAOが主催したシンポジウムでSmithとReynoldsは「あらゆる適切な害虫防除技術を相互に矛盾のない形で使用し,経済的被害を生じるレベル以下に害虫個体群を減少させ,かつその低い個体群レベルに維持させるための害虫管理のシステム」という定義で総合防除(integrated control)を提唱しました。
 △害虫防除の意義
 害虫防除(pest control)とは害虫発生の予防と駆除の略で,予防は発生の抑制及び被害の回避などを指し,駆除は発生後における殺虫処理を意味します。予防と駆除とは,これを人間の病気に例えると衛生と治療のような関係にあり,われわれはこれの両者の調整に絶えず注意を払わねばなりません。
 害虫防除の意義,目標は,害虫の損害を軽減し,収穫物の増収と品質向上による収入の増加のみならず,こうした背景のもに栽培方式の拡大化,品質の改良もおし進められ,害虫防除の効果評価はいっそう広い視野から検討されるようになりました。作物栽培体系は害虫防除法の発達により近年著しい変革を遂げました。害虫防除のねらいが,以前のような被害軽減第一主義から,新しい方向へと転換しつつあることは,とくに注目されなければなりません。
 このように,害虫防除の効果は広い視野から検討されなければなりませんが,被害軽減効果を論ずる場合には,その経済性をとくに重要視する必要があります。それは一般に,
  防除効果 = (防除によってもたらされた利益) ― (防除経費)
によって判定されますが,しかし,これは国又は地方自治体が行う場合と個人のそれとは事情が異なり,また一時的対策と長期的対策とでも計算が相違すること,また当然のことながら,経済的社会的情勢によっても価値が変化するなど,上記の査定は必ずしも簡単ではありません。
 近年,国民経済の向上と農業技術の発展によりますます防除費は増加している傾向にあります。
 害虫の防除法は通常次の4種に大別されます。
 (1)化学的防除(chemical control)
 (2)機械的・物理的防除(mechanical and physical control)
 (3)耕種的防除(cultural control)
 (4)生物的防除(biological control)
 これら4種の害虫防除法のほかに国家あるいは地方自治体が法令などを制定して行う法令防除があります。これは単なる経済効果のみでなく,進入害虫の防止,撲滅などが含まれます。近年,放射線などで不妊化した害虫を放飼して野生虫と交配させ次世代の発生を抑制したり,遺伝的に不適当な性質を有する系統を放飼して害虫個体数を減少させる試みが行われており,これらを自滅的防除,遺伝的防除(genetic control)といいます。
                                       
         害虫防除の分類及びその主要例

目標 化学的防除 機械的・物理的防除 耕種的防除 生物的防除
駆除 発生した害虫を対象とした殺虫 殺虫剤散布 誘引剤による大量捕殺 捕殺・灯火・誘殺・加熱   生物農薬
予防 発生の抑制 耐虫性の付与交尾阻害 不妊化処理 発生環境の改変・耐虫性品種の利用 天敵利用
予防 被害回避 忌避剤の利用 遮断 栽培時期の調節
        
 △総合防除
 害虫防除は農林業にあっては植物保護,医学の面にあっては人の健康保持の一環として考えられるべきものです。したがって各分野,とくに病害,雑草害の防除との密接な連携ないし栽培法や条件との配慮が必要です。
 (1)対象種の決定:いかなる害虫種を対象とするのか,とくに多数の種類がいる場合には,重要度の順位を定めて対象種をはっきりさせることが望まれます。季節によっても異なるので,季節配置にも合わせて考える必要があります。
 (2)防除範囲の選定:共同防除を実施するとか媒介昆虫の防除や,フェロモンなどによる防除,あるいは大発生などで蔓延の可能性のある場合には防除対象区域を定めなければなりません。
 (3)具体的方法の検討:具体的にいかなる防除法を採用するかは対象害虫の生態及び発生予察の結果などを十分考慮し,期待する効果の程度,経費及び資材,労力及び実行の難易,事後の影響,中毒などの危険性などに注意しなければなりません。
 総合防除(integrated control)という言葉は初期には「天敵と農薬を調和ないし相補的に使用して害虫を防除する体系」と定義されていたが,その後先に述べた「あらゆる適切な害虫防除技術を相互に矛盾のない形で使用し,経済的被害を生じるレベル以下に害虫個体群を減少させ,かつその低い個体群レベルに維持させるための害虫管理のシステム」という基本的考え方に変わり,さらに害虫管理(pest management)という考えのもとに農生態系(agroecosystem)のなかで広い角度から害虫防除を実施しようという方向に向かいつつあり,総合的害虫管理(integrated pest management,IPM)と呼ばれています。
6.PRTR法(特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律:略称「化学物質排出管理促進法」)とは

PRTRとは(環境庁のホームページより)
 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:環境汚染物質排出移動登録)は、「様々な排出源から排出又は移動される潜在的に有害な汚染物質の目録若しくは登録簿」で、一般に、事業者の報告などに基づき、行政が化学物質の排出量又は廃棄物に含まれている移動量のデータを収集し、収集したデータを目録などの形に整理し、これを広く公表する形をとります。
 PRTRは、行政・事業者・市民が情報を共有しつつ化学物質のリスク管理に役立てようとする環境保全のための新しい手法です。

99.03.16 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案」について (情報源名称:環境庁報道発表資料)
平成11年3月16日(火)
     環境庁環境保健部       
       保健企画課        
        課長:南川秀樹(6310) 
        補佐:菊池英弘(6309)  
       環境安全課        
        課長:吉田徳久(6350)  
        補佐:早水輝好(6353)  

環境庁は、通商産業省と共同で「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案」の立案作業を行ってきたが、今般、政府部内の調整が整い、3月16日(火)に閣議決定された。

1 背景
 近年、化学物質による環境汚染の未然防止に関する国民の関心が急速に高まっているため、環境庁では、昨年11月の中央環境審議会答申「今後の化学物質による環境リスク対策の在り方について(中間答申)ー我が国におけるPRTR(環境汚染物質排出移動登録)制度の導入ー」を受け、また、通商産業省においても、昨年9月の化学品審議会中間報告「事業者による化学物質の管理の促進に向けて」を受け、両省庁が共同で必要な対応の検討を行ってきた。
 その結果、環境庁及び通商産業省は、人の健康や生態系に有害な性状を有する化学物質について、それによる人体等への悪影響との因果関係の判明の程度に係わらず、事業者による管理活動を改善・強化し環境の保全を図るための新たな法制度を設けることが必要であるという認識が一致したため、共同で法案の作成作業を行い、今般、政府部内の調整を終えて、「特定化学物質の排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案」を取りまとめたものである。

2 法律案の概要
(1)法の目的
 環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ、化学物質に関する科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況を踏まえ、事業者及び国民の理解の下に、化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置(PRTR)並びに事業者による化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供に関する措置(MSDS)等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止すること。

(PRTRとは、Pollutant Release and Transfer Registerの略)
(MSDSとは、Material Safety Data Sheetの略)

(2)対象物質の選定(政令で指定)
 環境庁長官、厚生大臣及び通商産業大臣は、法の対象物質を選定するにあたり、あらかじめそれぞれの審議会の意見を聴かなければならない。
  環境庁;中央環境審議会 厚生省;生活環境審議会 通商産業省;化学品審議会
(3)化学物質の排出量等の届出の義務づけ(PRTR制度)
 {1}事業者(注1)は、化学物質の環境への排出量及び移動量を把握し、事業所管大臣に届出(義務化)。
(注1)政令で定める業種に属しかつ取扱量等を勘案して政令で定める要件に該  当する者
 {2}国は、届け出られた情報について営業秘密(注2)を確保した上でファイル化(電子計算機で処理できる情報にすること)し、それを物質ごとに、業種別、地域別等に集計し公表するとともに都道府県に提供(注3)。
(注2)営業秘密は、「不正競争防止法」の営業秘密の判断基準、すなわち、「秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないもの」の基準に従い、厳格に判断。
 営業秘密の判断は、事業者の生産方法等に係る技術的な情報を有する事業所管大臣が行うが、環境庁長官は、環境行政上必要があれば事業所管大臣に説明を求めることができる。
(注3)都道府県は、ファイル化された事業所ごとの情報をもとに、地域のニーズに応じて集計・公表。
 {3}国は、{1}で届け出られた排出量以外の、家庭、農地、移動発生源(自動車等)からの排出量を推計して集計し、{2}と併せて公表。
 {4}国は、{2}でファイル化された事業所ごとの情報について、請求に応じて開示。
 {5}事業者は、国が定める技術的な指針に留意しつつ化学物質の管理を改善・強化するとともに、その環境への排出や管理の状況等について関係者の理解の増進に努力。

(4)国による調査の実施
 {1}国は、PRTRの集計結果等を踏まえて環境モニタリング調査及び人の健康等への影響に関する調査を実施。
 {2}都道府県は、国が行う{1}の調査について意見を述べることができる。

(5)化学物質安全性データシート(MSDS)の交付の義務づけ
 事業者が対象化学物質の譲渡等を行うに際し、相手方に対して当該化学物質の性状及び取扱いに関する情報を提供(義務化)

(6)国及び地方公共団体の措置
 {1}化学物質の有害性等に関する科学的知見の充実に努める。
 {2}化学物質の性状等に関するデータベースの整備と利用の促進に努める。
 {3}事業者に対する技術的な助言等の措置を講ずるよう努める。
 {4}化学物質の管理状況等に関する国民の理解を深めるよう努める。
 {5}{3}及び{4}のために必要な人材の育成に努める。
特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案
(平成11年3月16日閣議決定・閣法第88号)
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  目 次

 第一章 総則(第一条―第四条)
 第二章 第一種指定化学物質の排出量等の把握等(第五条―第十三条)
 第三章 指定化学物質等取扱事業者による情報の提供等(第十四条―第十六条)
 第四章 雑則(第十七条―第二十二条)
 第五章 罰則(第二十三条)
 附 則

第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、環境の保全に係る化学物質の管理に関する国際的協調の動向に配慮しつつ、化学物質に関する科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱いに関する状況を踏まえ、事業者及び国民の理解の下に、特定の化学物質の環境への排出量等の把握に関する措置並びに事業者による特定の化学物質の性状及び取扱いに関する情報の提供に関する措置等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする。
 (定義等)
第二条 この法律において「化学物質」とは、元素及び化合物(それぞれ放射性物質を除く。)をいう。
2 この法律において「第一種指定化学物質」とは、次の各号のいずれかに該当し、かつ、その有する物理的化学的性状、その製造、輸入、使用又は生成の状況等からみて、相当広範な地域の環境において当該化学物質が継続して存すると認められる化学物質で政令で定めるものをいう。
 一 当該化学物質が人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがあるものであること。
 二 当該化学物質が前号に該当しない場合には、当該化学物質の自然的作用による化学的変化により容易に生成する化学物質が同号に該当するものであること。
 三 当該化学物質がオゾン層を破壊し、太陽紫外放射の地表に到達する量を増加させることにより人の健康を損なうおそれがあるものであること。

3 この法律において「第二種指定化学物質」とは、前項各号のいずれかに該当し、かつ、その有する物理的化学的性状からみて、その製造量、輸入量又は使用量の増加等により、相当広範な地域の環境において当該化学物質が継続して存することとなることが見込まれる化学物質(第一種指定化学物質を除く。)で政令で定めるものをいう。

4 前二項の政令は、化学物質の性状についての科学的知見及び化学物質の安全性の評価についての技術上の基準に関する内外の動向に十分配慮して定めるものとする。

5 この法律において「第一種指定化学物質等取扱事業者」とは、次の各号のいずれかに該当する事業者のうち、政令で定める業種に属する事業を営むものであって当該事業者による第一種指定化学物質の取扱量等を勘案して政令で定める要件に該当するものをいう。
 一 第一種指定化学物質の製造の事業を営む者、業として第一種指定化学物質又は第一種指定化学物質を含有する製品であって政令で定める要件に該当するもの(以下「第一種指定化学物質等」という。)を使用する者その他業として第一種指定化学物質等を取り扱う者
 二 前号に掲げる者以外の者であって、事業活動に伴って付随的に第一種指定化学物質を生成させ、又は排出することが見込まれる者

6 この法律において「指定化学物質等取扱事業者」とは、前項各号のいずれかに該当する事業者及び第二種指定化学物質の製造の事業を営む者、業として第二種指定化学物質又は第二種指定化学物質を含有する製品であって政令で定める要件に該当するもの(以下「第二種指定化学物質等」という。)を使用する者その他業として第二種指定化学物質等を取り扱う者をいう。

7 この法律において「電子情報処理組織」とは、主務大臣の指定する電子計算機(入出力装置を含む。以下同じ。)と、第五条第二項の規定による届出をしようとする者又は第六条第一項若しくは第七項若しくは第十条第一項の規定による請求をしようとする者の使用に係る入出力装置とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。 

(化学物質管理指針)
第三条 主務大臣は、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止するため、化学物質の物理的化学的性状についての科学的知見及び化学物質の製造、使用その他の取扱い等に関する技術の動向を勘案し、指定化学物質等取扱事業者が講ずべき第一種指定化学物質等及び第二種指定化学物質等(以下「指定化学物質等」という。)の管理に係る措置に関する指針(以下「化学物質管理指針」という。)を定めるものとする。

2 化学物質管理指針においては、次の事項を定めるものとする。
 一 指定化学物質等の製造、使用その他の取扱いに係る設備の改善その他の指定化学物質等の管理の方法に関する事項
 二 指定化学物質等の製造の過程におけるその回収、再利用その他の指定化学物質等の使用の合理化に関する事項
 三 指定化学物質等の管理の方法及び使用の合理化並びに第一種指定化学物質の排出の状況に関する国民の理解の増進に関する事項
 四 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の活用に関する事項

3 主務大臣は、化学物質管理指針を定め、又は変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議するものとする。

4 主務大臣は、化学物質管理指針を定め、又は変更したときは、遅滞なく、これを公表するものとする。

(事業者の責務)
第四条 指定化学物質等取扱事業者は、第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質が人の健康を損なうおそれがあるものであること等第二条第二項各号のいずれかに該当するものであることを認識し、かつ、化学物質管理指針に留意して、指定化学物質等の製造、使用その他の取扱い等に係る管理を行うとともに、その管理の状況に関する国民の理解を深めるよう努めなければならない。

第二章 第一種指定化学物質の排出量等の把握等
 (排出量等の把握及び届出)
第五条 第一種指定化学物質等取扱事業者は、その事業活動に伴う第一種指定化学物質の排出量(第一種指定化学物質等の製造、使用その他の取扱いの過程において変動する当該第一種指定化学物質の量に基づき算出する方法その他の主務省令で定める方法により当該事業所において環境に排出される第一種指定化学物質の量として算出する量をいう。次項及び第九条第一項において同じ。)及び移動量(その事業活動に係る廃棄物の処理を当該事業所の外において行うことに伴い当該事業所の外に移動する第一種指定化学物質の量として主務省令で定める方法により算出する量をいう。次項において同じ。)を主務省令で定めるところにより把握しなければならない。

2 第一種指定化学物質等取扱事業者は、主務省令で定めるところにより、第一種指定化学物質及び事業所ごとに、毎年度、前項の規定により把握される前年度の第一種指定化学物質の排出量及び移動量に関し主務省令で定める事項を主務大臣に届け出なければならない。

 (対応化学物質分類名への変更)
第六条 第一種指定化学物質等取扱事業者は、前条第二項の規定による届出に係る第一種指定化学物質の使用その他の取扱いに関する情報が秘密として管理されている生産方法その他の事業活動に有用な技術上の情報であって公然と知られていないものに該当するものであるとして、当該第一種指定化学物質の名称に代えて、当該第一種指定化学物質の属する分類のうち主務省令で定める分類の名称(以下「対応化学物質分類名」という。)をもって次条第一項の規定による通知を行うよう主務大臣に請求を行うことができる。

2 第一種指定化学物質等取扱事業者は、前項の請求を行うときは、前条第二項の規定による届出と併せて、主務省令で定めるところにより、その理由を付して行わなければならない。

3 主務大臣は、第一項の請求を認める場合には、その旨の決定をし、当該請求を行った第一種指定化学物質等取扱事業者に対し、その旨を通知するものとする。

4 主務大臣は、第一項の請求を認めない場合には、その旨の決定をし、当該決定後直ちに、当該請求を行った第一種指定化学物質等取扱事業者に対し、その旨及びその理由を通知するものとする。

5 前二項の決定は、第一項の請求があった日から三十日以内にするものとする。

6 前項の規定にかかわらず、主務大臣は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項の期間を三十日以内に限り延長することができる。

7 第一種指定化学物質等取扱事業者は、毎年度、当該年度の前年度以前の各年度において第八条第一項の規定によりファイルに記録された対応化学物質分類名を維持する必要があるときは、主務省令で定めるところにより、主務大臣にその旨の請求を行わなければならない。

8 第三項から第六項までの規定は、前項の請求について準用する。この場合において、第三項から第五項までの規定中「第一項」とあるのは、「第七項」と読み替えるものとする。

 (届出事項の通知等)
第七条 主務大臣は、第五条第二項の規定による届出があったときは、遅滞なく、当該届出に係る事項を環境庁長官及び通商産業大臣に通知するものとする。ただし、当該届出に係る事項のうち第一種指定化学物質の名称について前条第一項の請求があったときは、当該第一種指定化学物質の名称については、対応化学物質分類名をもって通知するものとする。

2 主務大臣は、前条第四項(同条第八項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の決定をしたときは、当該決定に係る第一種指定化学物質の名称を環境庁長官及び通商産業大臣に通知するものとする。この場合において、当該通知は、同条第四項の規定による第一種指定化学物質等取扱事業者への通知の日から二週間を経過した日以後速やかに行うものとする。

3 主務大臣は、毎年度、当該年度の前年度以前の各年度において前条第三項(同条第八項において準用する場合を含む。)の決定をした場合であって、当該年度において同条第七項の請求がないときは、当該決定に係る第一種指定化学物質の名称を環境庁長官及び通商産業大臣に通知するものとする。

4 環境庁長官は、必要があると認めるときは、主務大臣に対し、第一項ただし書の規定による通知に係る第一種指定化学物質に関し第五条第二項の規定により届け出られた事項について説明を求めることができる。
 (届出事項の集計等)

第八条 環境庁長官及び通商産業大臣は、前条第一項から第三項までの規定により通知された事項について、総理府令、通商産業省令で定めるところにより電子計算機に備えられたファイルに記録するものとする。

2 環境庁長官及び通商産業大臣は、前項の規定による記録をしたときは、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、遅滞なく、同項のファイルに記録された事項(以下「ファイル記録事項」という。)のうち、主務大臣が所管する事業を行う事業所に係るものを当該主務大臣に、その管轄する都道府県の区域に所在する事業所に係るものを都道府県知事に、それぞれ通知するものとする。

3 環境庁長官及び通商産業大臣は、総理府令、通商産業省令で定めるところにより、遅滞なく、ファイル記録事項を集計するものとする。

4 環境庁長官及び通商産業大臣は、遅滞なく、前項の規定により集計した結果を主務大臣及び都道府県知事に通知するとともに、公表するものとする。

5 主務大臣及び都道府県知事は、第二項の規定による通知があったときは、当該通知に係る事項について集計するとともに、その結果を公表することができる。

 (届け出られた排出量以外の排出量の算出等)
第九条 環境庁長官及び通商産業大臣は、関係行政機関の協力を得て、第一種指定化学物質等取扱事業者以外の事業者の事業活動に伴う第一種指定化学物質の排出量その他第五条第二項の規定により届け出られた第一種指定化学物質の排出量以外の環境に排出されていると見込まれる第一種指定化学物質の量を総理府令、通商産業省令で定める事項ごとに算出するものとする。

2 環境庁長官及び通商産業大臣は、前項の規定により算出された結果を総理府令、通商産業省令で定めるところにより集計し、その結果を前条第四項の集計した結果と併せて公表するものとする。 

 (開示請求権)
第十条 何人も、第八条第四項の規定による公表があったときは、当該公表があった日以後、主務大臣に対し、当該公表に係る集計結果に集計されているファイル記録事項であって当該主務大臣が保有するものの開示の請求を行うことができる。

2 前項の請求(以下「開示請求」という。)は、次の事項を明らかにして行わなければならない。
 一 開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人その他の団体にあっては代表者の氏名
 二 事業所の名称、所在地その他の開示請求に係る事業所を特定するに足りる事項

 (排出量等の開示義務)
第十一条 主務大臣は、開示請求があったときは、当該開示請求をした者に対し、ファイル記録事項のうち、当該開示請求に係る事項を速やかに開示しなければならない。

 (調査の実施等)
第十二条 国は、第八条第四項及び第九条第二項に規定する結果並びに第一種指定化学物質の安全性の評価に関する内外の動向を勘案して、環境の状況の把握に関する調査のうち第一種指定化学物質に係るもの及び第一種指定化学物質による人の健康又は動植物の生息若しくは生育への影響に関する科学的知見を得るための調査を総合的かつ効果的に行うとともに、その成果を公表するものとする。

(資料の提供の要求等)
第十三条 都道府県知事は、当該都道府県の区域において国が行う前条に規定する調査に関し、当該調査を行う行政機関の長に対し、必要な資料の提供を求め、又は意見を述べることができる。

第三章 指定化学物質等取扱事業者による情報の提供等
 (指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供)
第十四条 指定化学物質等取扱事業者は、指定化学物質等を他の事業者に対し譲渡し、又は提供するときは、その譲渡し、又は提供する時までに、その譲渡し、又は提供する相手方に対し、当該指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報を文書又は磁気ディスクの交付その他通商産業省令で定める方法により提供しなければならない。

2 指定化学物質等取扱事業者は、前項の規定により提供した指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の内容に変更を行う必要が生じたときは、速やかに、当該指定化学物質等を譲渡し、又は提供した相手方に対し、変更後の当該指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報を文書又は磁気ディスクの交付その他通商産業省令で定める方法により提供するよう努めなければならない。

3 前二項に定めるもののほか、前二項に規定する情報の提供に関し必要な事項は、通商産業省令で定める。

 (勧告及び公表)
第十五条 通商産業大臣は、前条第一項の規定に違反する指定化学物質等取扱事業者があるときは、当該指定化学物質等取扱事業者に対し、同項の規定に従って必要な情報を提供すべきことを勧告することができる。

2 通商産業大臣は、前項の規定による勧告を受けた指定化学物質等取扱事業者がその勧告に従わなかったときは、その旨を公表することができる。

 (報告の徴収)
第十六条 通商産業大臣は、この章の規定の施行に必要な限度において、指定化学物質等取扱事業者に対し、その指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供に関し報告をさせることができる。

第四章 雑 則
 (国及び地方公共団体の措置)
第十七条 国は、化学物質の安全性の評価に関する国際的動向に十分配慮しつつ、化学物質の性状に関する科学的知見の充実に努めるとともに、化学物質の安全性の評価に関する試験方法の開発その他の技術的手法の開発に努めるものとする。

2 国は、化学物質の性状及び取扱いに関する情報に係るデータベース(論文、数値、図形その他の情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。)の整備及びその利用の促進に努めるものとする。

3 国及び地方公共団体は、指定化学物質等取扱事業者が行う指定化学物質等の自主的な管理の改善を促進するため、技術的な助言その他の措置を講ずるように努めるものとする。

4 国及び地方公共団体は、教育活動、広報活動等を通じて指定化学物質等の性状及び管理並びに第一種指定化学物質の排出の状況に関する国民の理解を深めるよう努めるものとする。

5 国及び地方公共団体は、前二項の責務を果たすために必要な人材を育成するよう努めるものとする。

(審議会の意見の聴取)
第十八条 内閣総理大臣、厚生大臣及び通商産業大臣は、第二条第二項又は第三項の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、政令で定める審議会の意見を聴くものとする。

 (手数料)
第十九条 ファイル記録事項の開示を受ける者は、政令で定めるところにより、実費の範囲内において政令で定める額の開示の実施に係る手数料を納付しなければならない。

 (電子情報処理組織の使用等に関する事項)
第二十条 主務大臣は、第五条第二項の規定による届出又は第六条第一項若しくは第七項の請求については、政令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して又は磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)により行わせることができる。

2 主務大臣は、第六条第三項又は第四項(これらの規定を同条第八項において準用する場合を含む。)の規定による通知については、政令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して又は磁気ディスクにより行うことができる。

3 第一項の規定により電子情報処理組織を使用して行われた第五条第二項の規定による届出又は第六条第一項若しくは第七項の請求は、主務大臣の指定する電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該主務大臣に到達したものとみなす。

4 第二項の規定により電子情報処理組織を使用して行われた第六条第三項又は第四項(これらの規定を同条第八項において準用する場合を含む。)の規定による通知は、第六条第一項又は第七項の請求をした者の使用に係る入出力装置に備えられたファイルへの記録がされた後通常その出力に要する時間が経過した時に当該請求をした者に到達したものと推定する。

5 主務大臣は、第十条第一項の請求又は第十一条の規定による開示については、政令で定めるところにより、電子情報処理組織を使用して又は磁気ディスクにより行わせ、又は行うことができる。

(経過措置)
第二十一条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

(主務大臣等)
第二十二条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
 一 第二条第七項の規定による指定、第十条第一項の規定による請求及び第十一条の規定による開示に関する事項並びに第二十条第五項に定める事項については、環境庁長官、通商産業大臣又は当該第一種指定化学物質等取扱事業者の行う事業を所管する大臣
 二 第三条第一項の規定による化学物質管理指針の策定、同条第三項の規定による協議
及び同条第四項の規定による公表に関する事項(同条第二項第四号に掲げる事項に係るものを除く。)については、環境庁長官及び通商産業大臣
 三 第三条第一項の規定による化学物質管理指針の策定、同条第三項の規定による協議
及び同条第四項の規定による公表に関する事項(同条第二項第四号に掲げる事項に係るものに限る。)については、通商産業大臣
 四 第五条第二項の規定による届出、第六条第一項の規定による請求、同条第三項及び
第四項(これらの規定を同条第八項において準用する場合を含む。)の規定による決定及び通知、同条第六項(同条第八項において準用する場合を含む。)の規定による期間の延長、同条第七項の規定による請求、第七条第一項から第三項までの規定による通知、同条第四項の規定による説明、第八条第二項及び第四項の規定による通知並びに同条第五項の規定による集計及び公表に関する事項並びに第二十条第一項及び第二項に定める事項については、当該第一種指定化学物質等取扱事業者の行う事業を所管する大臣

2 この法律における主務省令は、内閣総理大臣、通商産業大臣及び当該第一種指定化学物質等取扱事業者の行う事業を所管する大臣の発する命令とする。

第五章 罰 則
第二十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の過料に処する。
 一 第五条第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 二 第十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

附 則

 (施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して九月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 一 第十八条の規定 公布の日
 二 第三章及び第二十三条(第一号を除く。)の規定 公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内 において政令で定める日
 三 第二章、第十九条、第二十条及び第二十三条(第一号に限る。)並びに次条の規定 公布の日から起 算して二年六月を超えない範囲内において政令で定める日

(経過措置)
第二条 第六条第五項に規定する日が、前条第三号に規定する規定の施行の日の属する年度の翌年度にある場合には、同項中「三十日以内」とあるのは、「五月以内」とする。

 (検討)
第三条 政府は、この法律の施行後十年を経過した場合において、この法律の施行の状況
について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 (環境庁設置法の一部改正)
第四条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。
  第四条第六号の三の次に次の一号を加える。
  六の四 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成十一年法律第 号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。

 (通商産業省設置法の一部改正)
第五条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正
する。
  第四条第六十三号の二の次に次の一号を加える。
  六十三の三 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成十一年法律第 号)の施行に関する事務で所掌に属するものを処理すること。

参考文献

1)河野修一郎:日本農薬事情,岩波新書
2)小林他:緑化木・材木の害虫,農林水産省森林研究所,(株)養賢堂発行
3)イカリ消毒株式会社:家庭害虫よサヨナラ!−ゴキブリ・ダニ対策はこれで万全−,(株)保育社
4)上住 泰・森田:植木の病害虫防除,家の光協会
5)一色周知監修:『原色日本蛾類幼虫図鑑』,保育社
6)奧野他:『原色樹木病害虫図鑑』,保育社

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