金沢洪水える 31
by Toshiki NAKA



辰巳ダムは有史以来発生したことの無いような想定洪水が根拠!

――辰巳ダム無用の根拠――

 2年ぶりの掲載だ。長い間御無沙汰していたものだ。
辰巳ダム計画では、100年確率の想定洪水量を1750m3/秒としたが、流量確率解析では6000年確率となり、有史以来発生したことのないような、実態とかけ離れた異常に過大な数値である。辰巳ダムは、ありもしない洪水を根拠にした、有害無益なダムである。

約800字、うそ八百ではない(-_-;)

 「反対して辰巳ダムができなかったら、洪水の時に責任を取れるのか」と問いつめられることがある。責任を取れるかはともかく、辰巳ダムができれば全く豪雨による被害が無くなるのか。その答えは「NO」であり、市街地全域で未曽有の氾濫被害が発生する。金沢市作成の「浸水実績区域図」によれば、時間40mmの雨、あるいは時間30mmの雨が2〜3時間続くと市内各所で水路が氾濫することを示している。市街地の雨水を河川まで排水するための水路や下水路の能力をオーバーして溢れるからである。辰巳ダム計画が想定する降雨は、流域全域で時間30〜40mmの雨が続き、ピークで時間60mmを超える猛烈な雨を想定しているが、時間30〜40mmが2,3時間継続すると市内各地で氾濫が始まり、時間60mmを超える雨で市街地全体の水路で氾濫する。氾濫しないところはどこにもない状態になる。辰巳ダムがコントロールできるのは、本川の外水(川を流れる水)だけであり、市街地の内水(水路や下水を流れる水)をコントロールできない。このような氾濫に誰も責任を取ることはできない。
 そもそもこのような雨による洪水があるのだろうか。辰巳ダムの計画降雨による100年確率想定洪水量は犀川大橋地点で1750m3/秒である。20世紀100年間の最大規模の出水は昭和8年の930m3/秒、昭和36年第二室戸台風700±50m3/秒、平成10年台風7号842m3/秒でいずれも900m3/秒前後である。流量記録から統計解析した100年確率流量は963m3/秒。石川県の洪水量解析を「基準」に従い決定すれば946m3/秒となる。辰巳ダム計画では、100年確率の想定洪水量を1750m3/秒としたが、流量確率解析では6000年確率となり、有史以来発生したことのないような、実態とかけ離れた異常に過大な数値である。辰巳ダムは、ありもしない豪雨を根拠にした、有害無益なダムである。
                                               平成19年5月18日
                                                    中 登史紀
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