なんで犀川ダムの水の管理を金沢市企業局エネルギー課がしているの?


 てっきり、犀川ダムを造って管理をしている石川県がやっているとばかり思っていました。県の河川課ダム管理係に尋ねると、県では一部、下流で水位の監視はしているが、水の管理、バルブのコントロールは金沢市のエネルギー課がやっているとのことでした。ムムムー? 水の管理は金沢市がやってる? 犀川の水の管理をやらないで県は何の管理をやっているの? 水利権の許可などを含めて総合的に治水、利水の管理を石川県がやっていると思っていたけれど? いずれにしても、犀川ダムの水をコントロールしているところを訪ねることにしました。
 管理しているところは、「犀川水系発電管理所」、三口新町の住宅街の中にありました。何でこんな所にと思いましたが、昔の管理職員の宿舎があったところで、各発電施設に30分以内の場所に位置しているのでこの場所にしたらしたとのことでした。


  発電管理所の外観

 ここは、上寺津、新辰巳、新寺津、新内川、新内川第二の5発電設備の管理をしているところでした。二階に管理所があり、ここでリモートコントロールにより、5ヶ所の監視、運転操作ができるようになっています。「犀川ダム」も「内川ダム」も貯めた水は全量、まず発電に利用した後、上水、工業用水、かんがいに利用されていました。そのため、最初にダムの水を利用する「エネルギー課の犀川水系発電管理所」が水のコントロールすることになったのでした。


  管理室の中の様子

 西 敏明所長補佐(金沢市企業局技術部エネルギー課発電管理センター、三口新町3-11-18)、池田さんから、管理についての話をお聞きしました。内容の要旨はつぎのようなものです。
 ●「犀川ダム操作規則」、「内川ダム操作規則」に従い、金沢市の発電施設を運転操作をしている。この「操作規則」の範囲内で最大限、発電できるようにしている。「操作規則」は石川県が作成したもので金沢市は関与していない。

 ●犀川ダムの放流水量の決め方は以下のとおりである。まず犀川大橋地点における流域(150.2km2)からの自然の水量を求める。犀川ダムに流入する水量を集水面積(56.1km2)で割って出した「単位面積当たりの流出量」に犀川ダム集水域以外の残留域面積(150.2km2−56.1km2=94.1km2)を掛けて残留域からの自然の水量を求める。この水量が犀川大橋地点の自然の水量であると決める。この水量が、「操作規則」で決められた「かんがい用水量」「上水道水量」「工業用水道用水量」の合計量に満たない場合は「補給水」として犀川ダムより補給する。
 「犀川ダム操作規則」の別表
  かんがい用水量 毎秒2.75〜8.40立方メートル(かんがい期4月1日から9月20日)
  上水道用水量 毎秒1.27立方メートル
  工業用水道用水量 毎秒0.46立方メートル
 ダムへ流入する量と放流量は関係なく、決めている。
 また、下流の水の利用に関係なく、上水や工業用水を使おうが使うまいが、決められた水量を流している。

 ●内川ダムの放流水量は、「操作規則」に決められた「かんがい用水量」「上水道水量」によって決めている。
  「内川ダム操作規則」の別表
  かんがい用水量 毎秒0.2〜0.64立方メートル(かんがい期4月21日から9月30日)
  上水道用水量 毎秒1.16立方メートル


実態を調べれば調べるほど、芋蔓式にいろいろと疑問が湧いてきました。
(疑問1?)
 「ダムへ流入する量と放流量は関係なく決める」とはどういうことか? ダム築造以前は犀川の自流が変動して十分なかんがい用水を確保できなかったものが、現在では安定的にかんがい用水を取水していることになる。犀川ダムは「かんがい」用のダムか? もちろん、違う。一銭の費用負担もしていない!
(疑問2?)
 「下流の水の利用に関係なく、上水や工業用水を使おうが使うまいが、決められた水量を流している」とはどういうことか? 上水は計画の半分、工業用水は使っていないのだから、無駄に流していることになる。ダムが空になるはずである。

(疑問3?)
 企業局の発電部門は儲かって金沢市の財政に寄与しているというが、見かけの発電の費用負担が少ないからであって、工業用水や上水での大穴を勘案するとどうなるのか。

(疑問4?)
 犀川ダムは主として、上水、工業用水サイドが受益を得るために開発したにもかかわらず、実際は「かんがい」サイドが主たる受益を受けているのではないか?

(疑問5?)
 水道、工業用水が開発した貯水池の管理に水道、工業用水サイドが係わっていないということは、どう管理されているのか関与していないということはどういうことなのか。無駄に流されている事実を知らないのか?

(疑問6?)
 犀川の水を管理するのは、石川県ではないのか。犀川の水を管理しないで、何を管理しているのか。石川県の行政の怠慢ではないのか?
(疑問7?)
 空いている貯水池を治水に利用すれば治水容量としても使えるのではないか? 公開質問で指摘した「余っているダム貯水池の容量」650万m3はあたっているようです。辰巳ダムの洪水調節容量560万m3を軽くオーバーする巨大な容量です。市は数的な根拠無く、「余剰ではなく有効な余裕だ」といっているが。

 平成13年10月17日
 中 登史紀

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