新聞記事は著作物であり、著作権がある!

 筆者の「公開質問状」に関する新聞報道をホームページに掲載したところ、ホームページを閲覧した方より、著作権法違反であるとの指摘を受けた。
 新聞記事は著作物か?(著作権法で保護される著作物にあたるのか?)、著作物であれば引用できる制限範囲はどこまでか、制限範囲を越えて引用や転載する場合どうすればよいのか、著作者に対する許諾の方法等について調べることにした。

著作権法とは
 著作権法の全文を知る簡単な方法は、(社)著作権情報センターのホームページにアクセスすることである。URLは次のとおりである。
 http://www.cric.or.jp/db/fr/a1_index.html
 著作者の権利を守るための法律である「著作権法」の第一条(目的)は以下のとおりである。
 第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

著作物、著作者とは
 「著作権法」の第二条で以下のとおりに定義されている。
 第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
   一 著作物  思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
   二 著作者  著作物を創作する者をいう。
  以下、省略。

新聞記事は著作物か
 新聞記事が著作物であるかどうかに関して、(社)著作権情報センターのホームページhttp://www.cric.or.jp/ の中の「著作権Q&Aシリーズ――コピライトQ&A(著作権相談から)――新聞切り抜きコピーサービス」の項を参照することによって知ることができる。( http://www.cric.or.jp/qa/sodan/sodan.html )
 
 新聞記事は著作権上、以下の3種類の記事に分けられる。
 1.雑報
  「雑報」は著作物にあたらない。著作権法の第十条2項で「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。 」と規定されている。
 2.論説などの著作物
 権利の制限によって利用が大幅に緩和されているものである。社説や巻頭言、時事問題に関する論説などで、他の新聞や雑誌が転載することもできる。
 3.その他の著作物
 一般の著作物と同様に保護される。

 また、新聞記事をネットワーク上で利用する際の見解は、(社)日本新聞協会編集委員会によって、1997年11月に、「ネットワーク上の著作権に関する協会見解」として出されている。当見解の全文は(社)日本新聞協会のホームページ上(URL: http://www.pressnet.or.jp/)の「新聞界の動き」の中の「声明・見解」の項で知ることができる。

著作物の引用の制限範囲
 著作権法32条によれば、「著作物を引用は、引用の目的上正当な範囲内で行う」ものとしている。
 (引用)
 第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
 2 国又は地方公共団体の機関が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。

 それでは、「正当な範囲」とは、いかなるものか。新聞協会の「1997.11見解」に詳細されているが、要約すると、「正当な範囲」は、引用する必然性あり、質的にも量的にも引用先が「主」で引用部分が「従」という主従の関係がある範囲である。

引用と転載
 記事全文を使えば「転載」、一部だけならば「引用」。

著作物の権利者に対する許諾の方法
 各新聞社の著作権センターあるいは広報部等に問い合わせる。問い合わせ方法、承諾申込書様式の有無、使用料金、掲載期間、転載の可不可など、各社、異なっている。

今回の記事(2001年5月10日掲載)のホームページ転載許諾に関する各社の回答
 各社の「新聞記事(2001年5月10日掲載の筆者の公開質問状の報道)のホームページへの転載」に関する回答は以下のとおりである。回答を受け取った順に記述する。4紙のうち、1社は転載不可、3社は転載可。

朝日新聞社
 著作物の如何:誰が書いてもほとんど同じ文章になる、人物往来、死亡記事などが「雑報」であり、それ以外は著作物である。
 掲載の可不可:可。
 掲載の許諾:「申込書(ホームページ用)」(朝日新聞社様式)を(株)朝日新聞社 著作権センターに提出する必要がある。Fax以外の申し込みは不可
  Fax03-5541-8140
 掲載期間:1年間。
 掲載費用:1件につき、1万円。ただし、筆者の出した公開質問状についてのごく短い記事である理由で特別扱いとし、無料。
 使用条件:
 1.出所(紙面名、掲載日)を表示。
 2.記事を改変せずに使用。
 3.「朝日新聞社に無断で転載することを禁止する」という旨の表示をつける。
 4.転載期間の延長を希望する場合は、期間満了前に連絡。

北国新聞社
 著作物の如何:短い記事であっても、見出しもあり、編集もしているので著作物である。
 掲載の可不可:可。
 掲載の許諾:「著作物使用許可申請書」(北国新聞社様式)を提出(Fax可)して承諾を受ける必要がある。
 掲載期間:制限はない。
 掲載費用:非営利の場合においても、登録手数料として1件につき、2000円。

北陸中日新聞社
 著作物の如何:著作物である。
 掲載の可不可:不可。不可の理由は、イベントなどの案内のようなものであれば問題ないが、「辰巳ダム問題」のように多様な意見がある中で、一つだけの偏った記事と取られかねず、読者が誤解を招く恐れがあるので、ホームページへの転載は許可していない。多様な意見を載せた雑誌のようなものであれば可である。
 掲載の許諾:要。
 掲載期間:−
 掲載費用:不要。

毎日新聞社
 著作物の如何:著作物である。
 掲載の可不可:可。
 掲載の許諾:連絡し相談をすれば許諾(筆者はFaxで許諾を申し込んだ。様式問わず)。
 掲載期間:無制限。
 掲載費用:不要。
 使用条件:クレジット(提供者に対する、ホームページ上で表す敬意)をつけること。

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